2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a chasing type antimicrobial using bacteriophage
Project/Area Number |
18K15149
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
氣駕 恒太朗 自治医科大学, 医学部, 講師 (90738246)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | バクテリオファージ / 抗菌治療 / 薬剤耐性菌 / ファージ療法 / CRISPR-Cas |
Outline of Annual Research Achievements |
薬剤耐性菌は世界規模で蔓延しつつあるため、新規抗菌治療法の開発が待たれている。本研究課題では、遺伝子改変したバクテリオファージ(ファージ)を合成し、これまでにない抗菌治療を行うことを目的とした。当初はファージとサイトカイン等による自然免疫細胞の遊走により殺菌を行うことを考えていたが、サイトカインは炎症も惹起してしまうことがわかったため、ファージとCRISPR-Casを用いることにした。そこでRNA標的型のCRISPR-Cas13をファージに搭載した抗菌剤の合成を行った。ファージへの搭載には、大腸菌に感染するM13ファージ、80ファージ、T7ファージ、黄色ブドウ球菌に感染する80αファージを用いた。M13ファージはパッケージング法により、80ファージにはphagemidを用いた手法、T7ファージにはin vitro合成法、80αファージにはSaPI(Staphylococcus aureus pathogenicity island)を用いた手法を用いた。その結果、M13ファージと80ファージ、80αファージの殻にCas13aを搭載することに成功した。その一方で、T7ファージのゲノムにもCas13aを搭載することはできたが、継代している途中でCas13aの配列が抜けていくことがわかった。合成したファージは標的の細菌を殺菌することが大腸菌、黄色ブドウ球菌それぞれで確認された。また、この合成ファージを持ちいれば、3種類の細菌を混合した細菌叢から標的とした細菌のみを選択的に除けることも確認できた。さらに、ハチノスツヅリガの幼虫を用いた大腸菌の感染実験でファージ80由来の合成ファージを投与すると、菌投与による生存率を有意に改善させたことから、合成ファージはin vivoでも標的細菌を殺菌できることがわかった。今後は治療薬開発に向けて、薬理動態などの解析を行っていく予定である。
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