2018 Fiscal Year Research-status Report
らい菌が潜伏する宿主細胞に蓄積される特定のTAGを制御する細胞内メカニズムの解明
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18K15150
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
谷川 和也 帝京大学, 薬学部, 助教 (10443110)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | らい菌 / GPAT3 / triacylglycerol |
Outline of Annual Research Achievements |
ハンセン病は、細胞内寄生菌であるらい菌によって引き起こされる慢性炎症性疾患であり、病理組織の特徴からT型とL型に分類されている。L型ハンセン病は、宿主マクロファージ内に脂肪滴という形で大量の脂質を蓄積することで泡沫化細胞を形成する。このような脂肪滴に蓄えられる脂質は多岐にわたるためその役割は多様であり、菌にとっては炭素源として栄養に利用する、または免疫機構からの逸脱のために利用していると考えられるが、その脂質組成変化やその代謝機構についてはよくわかっていない。我々はこれまでに、らい菌を感染させたヒト培養マクロファージにおいてTriacylglycerol (TAG)が顕著に増加することを明らかにし、その機序には律速酵素であるglycerol-3-phosphate acyltransferase3 (GPAT3)が関与することを示してきた。そこで、らい菌を含んだ細胞内における脂質蓄積がGPAT3を介した現象であることを証明するために、CRISPR-Cas9システムによるゲノム編集技術を利用しGPAT3の欠損株を作製した。ノックアウトの確認方法としては、ウエスタンブロッティングによるタンパク質発現の評価およびシーケンス解析による配列の確認、14C-ステアリン酸、14C-アラキドン酸の取り込みによる酵素活性測定で評価している。今後は作製したGPAT3欠損株を用い、らい菌の感染への影響を評価する。これまでに我々は、らい菌生菌に高発現するpseudogeneを同定している。そこで、らい菌生菌をそれぞれの細胞株に感染させ、継時的にTotal RNAを抽出しpseudogeneの発現量を調べることで、らい菌のviabilityとして評価を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予備検討のデータを得ていたためターゲット遺伝子が絞れていたことと、CRISPR-Cas9によるノックアウト実験について所属組織内の協力研究者と相談できたため問題なく遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、基本的にはGPAT3のノックアウト細胞を用いてWT細胞株と比較して研究を行っていく。特に、らい菌感染への影響を評価する。実験的には、蛍光標識(FITC)したらい菌を用い細胞に感染させた時の脂肪滴形成と細胞内局在、そして取り込まれた後の細胞内における継時的な影響を調べるために、ImmunostainingやFACSを用いて検討を行う。
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Causes of Carryover |
今年度の計画で、免疫染色としてBODIPYやLpidToxそしてらい菌を標識するFITC二次抗体を購入する。また、細胞内へのらい菌生菌の取り込み強度をFACSで評価するための抗体としてLIVE/DEAD Viability Assay Kitを購入するため、その分を計上する予定。
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