2019 Fiscal Year Research-status Report
肺線維症患者の真菌マイクロバイオーム解析と真菌が上皮間葉転換に与える影響の検討
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18K15154
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
串間 尚子 福岡大学, 医学部, 講師 (90642497)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺真菌叢 |
Outline of Annual Research Achievements |
福岡大学病院で2017年12月~2019年6月の期間に気管支肺胞洗浄を施行したびまん性肺疾患118症例を対象とした。洗浄液は、回収後速やかにー80℃で冷凍し保管した。118例の中から、のちに特発性間質性肺炎と診断した13例、線維化が残存しなかった薬剤性間質性肺炎12例、陰影が消失し診断のつかなかった症例 6例の計31例を抽出し真菌叢解析を試みた。31症例のうち、特発性間質性肺炎 8/13例、薬剤性肺炎 3/12例、気管支肺胞洗浄施行後に陰影が消失し診断のつかなかった症例 4/6例でITS2領域が増幅された。培養はすべて陰性であった。OTU数は平均344であった。top 10 taxonをgenusレベルでみると、薬剤性肺炎でアスペルギルスの比率が少なかった。UniFrac distanceに基づく真菌叢の構造類似度 (PCoA unweighted)をみると、特発性間質性肺炎の真菌叢は類似している傾向であった。さらに、特発性間質性肺炎と薬剤性肺炎のアスペルギルス属検出割合の比較検出 (相対存在比) をみると、薬剤性肺炎ではアスペルギルスの検出率が有意に低かった。 慢性線維化性肺病変(8/13例)は、薬剤性肺炎(3/12例)と比較して気管支肺胞洗浄液から真菌が検出される割合が高く、従来の培養法では検出されなくても肺内には多数の真菌が存在していることが示唆された。肺内真菌叢は疾患によって異なり、真菌叢の違いが病態形成に関与している可能性があると考えられた。気管支肺胞洗浄液のメタITS2解析は、従来の培養法では検出できなかった肺内真菌叢の全貌を明らかにし、病因不明の慢性線維化性肺病変について、肺内真菌叢という観点から病態解明の一助になる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
より詳細な比較検討を行うため、症例数を増やす必要あり。
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Strategy for Future Research Activity |
肺線維症症例の気管支肺胞洗浄液をさらに集積する。 A549細胞と真菌を接触させ、上皮間葉転換が起こることを確認していく。
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Causes of Carryover |
A549細胞と真菌を接触させ、当初はα-SMAなどの蛋白を調べる予定であったが、RNAを網羅的に調べる方針へ転換し、この計画を遂行するために新たな費用が必要である。
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