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2018 Fiscal Year Research-status Report

ファージ間相互作用が志賀毒素産生に与える影響の解析

Research Project

Project/Area Number 18K15156
Research InstitutionNational Institute of Infectious Diseases

Principal Investigator

李 謙一  国立感染症研究所, 細菌第一部, 研究員 (80721711)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2020-03-31
Keywords腸管出血性大腸菌 / ゲノム解析 / 志賀毒素ファージ
Outline of Annual Research Achievements

腸管出血性大腸菌(enterohemorrhagic Eshcerichia coli:EHEC)のゲノム中には、複数のラムダ様ファージが存在する。このうち、志賀毒素産生性ファージ(Stxファージ)は、EHECの主要な病原性因子であるStxをコードしている。Stxファージの多様性と同一ゲノム内に存在する類似ファージ(ラムダ様ファージ)との関連性を明らかにする目的で、Stx産生量の高い特定の血清群のゲノム解析と、国内株の大規模ゲノム比較を行っているO111のStxファージの塩基配列解析を行った。
まず、特定の血清群の完全長ゲノム配列を決定したところ、3コピーのstx遺伝子が存在することが明らかとなった。同血清群の菌株34株について、次世代シークエンサーによって全ゲノム塩基配列のショートリードを取得し、カバレッジを解析したところ、いずれの菌株も複数コピーのstx遺伝子を保有することが示唆された。
また、血清群O111の20株について、ナノポアシークエンサーによってStxファージ塩基配列全長を決定したところ、Stx2ファージ配列に多様性が認められた。保有CDSによるクラスター解析を行った結果、複数のクラスターに分けられることが明らかとなった。各クラスターは、ファージ配列のearly regionに特徴があり、同部分を指標にしてグループ分けを行える可能性がある。また、各クラスターの菌株数株において、Stx産生量を測定したところ、同毒素産生量が高いまたは低いクラスターが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

野外株におけるStxファージの多様性を調べる目的で、特定の血清群のEHEC1株について完全長ゲノム配列の決定を行った。その結果、Stx1遺伝子を複数コピー保有することが明らかとなった。同血清群の菌株計34株の全ゲノム配列をIllumina MiSeqで取得し、Stx1遺伝子へマッピングしたところ、カバレッジからいずれの菌株も複数コピーの同遺伝子を保有することが示唆された。同血清群は、他の血清群と比べて比較的高い毒素産生量を示しており、Stxコピー数との関連性が示唆された。また、現在大規模ゲノム解析を行っているO111について、20株を選択しMinIONシークエンサーを用いてStxファージの配列決定を行った。その結果、多様なStx2ファージが検出されたが、ファージ中のearly regionによって、ある程度の型別が可能であることが示唆された。今後、各ファージの型について毒素産生量や産生量を規定する因子の同定を行う予定である。

Strategy for Future Research Activity

Stxファージ間およびラムダ様ファージ間との相互作用が、Stx産生量などに与える影響などについて明らかにする。まず、O111やO157などのStx1およびStx2を複数保有する菌株について、両遺伝子または類似したラムダ様ファージの欠損株を作製し、同毒素産生量に与える影響を解析する。有意な差が認められた菌株については、RNA-Seqなどによるトランスクリプトーム解析を行うとともに、ファージのショットガンライブラリーを用いたStx産生量に影響する因子の同定を行う。同一のStxを複数コピー有する菌株については、各コピーを別々の抗生物質耐性遺伝子カセットなどによって置換し、RNA-SeqやqPCRによって、遺伝子発現解析を行う。

Causes of Carryover

次年度はトランスクリプトーム解析やコピー数測定のためのRNA-Seq関連試薬やqPCR関連試薬など、高価な試薬を使用するため次年度使用額が生じた。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 2018

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Presentation] WGS解析によるMLVAの評価と効率的腸管出血性大腸菌 O157サーベイランス手法の確立2019

    • Author(s)
      李 謙一, 泉谷秀昌, 伊豫田 淳, 大西 真, EHEC Working Group
    • Organizer
      第92回日本細菌学会総会
  • [Presentation] Applicability of whole genome sequencing of enterohemorrhagic Escherichia coli O111 in the national surveillance2018

    • Author(s)
      Ken-ichi Lee Sunao Iyoda Tomoko Morita-Ishihara Keiko Kimata Masanori Watahiki Tsuyoshi Sekizuka Makoto Kuroda Makoto Ohnishi EHEC Working Group
    • Organizer
      The 10th International Symposium on Shiga Toxin (Verocytotoxin) Producing Escherichia coli Infections
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] HUS患者由来LEE非保有型EHECの完全長ゲノム配列解析2018

    • Author(s)
      李 謙一, 木全恵子, 綿引正則, 磯部 順子, 伊豫田 淳, 大西 真, EHEC Working Group
    • Organizer
      第22回腸管出血性大腸菌感染症研究会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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