2019 Fiscal Year Annual Research Report
Investigation of the mechanism of bacterial membrane vesicle uptake
Project/Area Number |
18K15160
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
平山 悟 国立感染症研究所, 細菌第一部, 研究員 (70778555)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メンブレンベシクル / 細胞間コミュニケーション / 形質転換 / グリシン |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究により、プラスミドを含んだメンブレンベシクル (以下ベシクル) を大腸菌の培養液に添加することで、大腸菌がベシクルを細胞内に取り込み、大腸菌の形質転換が起こることが示唆された。今年度では、どのような遺伝子がベシクルの取り込みに関与するのかを明らかにするため、大腸菌の遺伝子欠損株ライブラリーを用いたスクリーニングを行った。3,909株について検討した結果、ベシクルの取り込み能が増大する可能性のある複数の候補株を見出すことができた。 一方、研究を効率的に進行させるため、大腸菌のベシクル形成量が増大する培養方法を検討したところ、培養時に1.0%のグリシンを添加することで、顕著なベシクル形成量の増大が認められた。グリシン添加条件の大腸菌培養上清からは、同量のグリシン未添加条件の上清に比較して、タンパク質量としておよそ70倍、脂質量としておよそ50倍のベシクル収量が得られた。グリシン誘導ベシクルは、非誘導ベシクルに比較してサイズ (粒径) の増大が認められるとともに、タンパク質の組成に変化が生じており、細胞質及び内膜タンパク質の割合が増大していることが示された。これらのことから、グリシン誘導ベシクルは、非誘導ベシクルとは形成過程に相違があることが考えられた。加えて、非誘導ベシクルに比較して、グリシン誘導ベシクルではタンパク質量あたりのエンドトキシン活性がおよそ8分の1に減少していることが明らかになった。それにもかかわらず、グリシン誘導・非誘導ベシクルともに、マウスマクロファージ様細胞やマウスに対する免疫誘導活性やアジュバント活性を同等に有することが示された。
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