2018 Fiscal Year Research-status Report
細胞膜上での宿主-ウイルス因子群の攻防がHIV-1病態形成に与える影響
Project/Area Number |
18K15170
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
豊田 真子 熊本大学, エイズ学研究センター, 特任助教 (70771129)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 宿主制限因子 / ウイルス蛋白質 / 細胞膜 / HIV-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
HIV-1感染における病原性発現は、ウイルス増殖とこれを抑制する宿主制限因子との攻防の結果である。たとえば、SERINC3/5など一部の宿主制限因子は細胞膜に局在してHIV-1の出芽や感染性を減弱化させるが、Nefなど細胞膜に局在するウイルス蛋白質はこれら宿主因子の機能を阻害する。細胞膜に局在するウイルス蛋白質(Vpu, Env, Nef, マトリックス)は、互いに独立して、あるいは協同して、細胞膜型の宿主因子との攻防あるいは感染性ウイルス粒子の構築に働くと考えられるがその全貌は分かっていない。本研究は、生体内におけるウイルス蛋白質の個々、あるいは協同した機能と宿主制限因子との相互作用を解析し、病態発現との関連性を明らかにすることを目指す。本研究を進めるにあたっての予備検討として、膜貫通領域予測ツールを用いて、SERINC5の膜貫通領域の予測を行った。これにより、SERINC5は4つの細胞内ループおよび5つの細胞外ループを有する10回膜貫通型ドメインを構成すると予測された。この予測をもとに、細胞内および細胞外ループにアラニン変異を導入することで、SERINC5による感染性の制御に重要なドメインの同定に成功している。並行して、国内外の未治療のHIV-1感染者からクローニングしたNef蛋白質のSERINC5阻害活性を解析し、その機能的な違いを生じるNefの変異も同定している。今後は、感染性に影響をおよぼすSERINC5の機能ドメインと生体内で選択されるNefの変異の相互作用が病態発現に及ぼす詳細な解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
SERINC5の機能に重要なドメインの同定および、SERINC5活性阻害に影響を及ぼすNefの変異の同定に成功している。以上のより、おおむね順調に進んでいると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
感染者臨床情報(CD4カウントや血漿ウイルス量など)およびSERINC5活性阻害に影響を及ぼすNefの変異のインフォマティクス解析を行い、病態形成への影響を解析する。特に、興味深い結果が得られた感染者に関しては、Nefのその他の機能解析(HLA発現低下作用、ウイルス複製作用)も行っていく。また、蛍光顕微鏡等での解析を視野に含め、SERINC5およびNef変異の相互作用が動態に及ぼす影響も明らかにしていく。
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Causes of Carryover |
予定していた感染者検体に変動があったため、クローニングおよび発現ベクターの作製に使用予定であった消耗品の使用額が減少した。平成31年度は蛍光顕微鏡の解析をメインに行い、データを取得後はすみやかにまとめていく。よって、主に試薬代に使用し、研究成果発表のための学会参加の旅費および論文投稿に使用する。平成31年度使用予定の195万円のうち、物品費に120万円、旅費に40万円、論文投稿に30万円、その他に5万円を使用する予定である。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] Impaired Nef’s ability to counteract SERINC5 by immune-driven mutations.2019
Author(s)
Mako Toyoda, Doreen Kamori, Jonathan Carlson, Ai Kawana-Tachikawa, Hiroyuki Gatanaga, Shinichi Oka, Takamasa Ueno.
Organizer
The annual Conference on Retroviruses and Opportunistic Infections (CROI), Seattle, USA, March 4-7, 2019.
Int'l Joint Research
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