2018 Fiscal Year Research-status Report
レドックスシグナルを介した制御性T細胞の維持とその自己免疫疾患への関与
Project/Area Number |
18K15183
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
里岡 大樹 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (40750360)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / 制御性T細胞 / 活性酸素群 / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
生体内で免疫寛容を担う制御性T細胞(Treg)の維持破綻は、関節リウマチなどの自己免疫疾患の発症や病態との関連が指摘されているが、Tregの生体内での安定的維持の機構については不明な点が多い。一方、レドックス(酸化還元)反応は生体内で恒常的バランスが保たれているが、活性酸素(ROS)の慢性的な増加は炎症性サイトカインの産生を促し、慢性炎症などの免疫反応を誘導する。自己免疫疾患でもROSが増加しているが、ROSの自己免疫疾患の発症や病態形成における役割は明らかではない。本研究では、レドックスが自己免疫疾患の発症や病態形成に関与するメカニズムとして、Tregの生体内維持に着目し、レドックスを介したその制御機構を明らかにすることを目的とした。 関節リウマチのモデルマウスであるコラーゲン誘導関節炎 (CIA) マウスに抗酸化剤N-acetyl-L-cysteine(NAC)および4-hydroxy-2,2,6,6-tetramethylpiperidin-1-oxyl(TEMPOL)を投与し、レドックス反応の自己免疫疾患への関与を検討したところ、NACおよびTEMPOLを経口投与したマウスでは、投与していないマウスと比較して関節における浸潤細胞数が顕著に減少しており、関節の肥厚および骨破壊も抑制された。CIAマウスでは、CD4ならびにCD8 Tregが減少しており、これらの細胞は抗酸化剤の投与によって、その数が回復することを見出した。さらに、Treg細胞内のROSの値は細胞数と逆相関することも見出している。また、抗体産生に関与する濾胞性ヘルパーT細胞(Tfh)および胚中心B細胞(GC B)の増幅も抗酸化剤の投与により顕著に抑制された。以上の結果より、自己免疫疾患においてレドックスバランスの破綻とそのTreg細胞の生体維持機構への関与を示すことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、自己免疫疾患・関節リウマチモデルマウスにおいてTregの減少およびROSの蓄積を明らかにした。これに加えて、抗酸化剤による関節の肥厚および自己抗体産生の抑制を示すことができ、自己免疫疾患におけるレドックス反応の関与を明らかにできている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、自己免疫疾患発症時においてTreg内のROS代謝経路がどのように変化するかを解析すると共に、その変化によるTreg維持シグナルの破綻を詳細に解析していく予定である。特に、ROS代謝の破綻によるレドックスセンシティブなタンパク質であるプロテインチロシンホスファターゼに着目して解析を行っていく予定である。
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