2019 Fiscal Year Research-status Report
Notchシグナルによる小腸上皮間リンパ球の成熟・TCRレパトア調節機構の解明
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18K15191
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
石舟 智恵子 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (80632645)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Notchシグナル / 腸管上皮間リンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究は、CD8αα陽性の小腸上皮間リンパ球(CD8ααIEL)の分化・成熟に必要な分子機構を明らかにする目的で行い、E8I-Cre依存的なRbpj遺伝子欠損マウス(Rbpj-8 KO)では、TCRαβ型とTCRγδ型の両方のCD8ααIELでThy1陰性IELが減少することを見出している。本年度は以下の検討を行った。(1)TCRγδ型CD8ααIELのマイクロアレイ解析で変化が認められた遺伝子の発現をリアルタイムPCRで検討し、Thy1陽性CD8ααIELではメモリーT細胞に関連する遺伝子が、Thy1陰性IELでは抗菌ペプチドに関連する遺伝子の発現が高いという特徴を有することを見出した。他方で、Rbpj-8 KOマウスのTCRγδ型CD8ααIELでは、Notchシグナルのターゲット遺伝子や抗菌ペプチド、細胞傷害性因子の発現低下を認めた。(2)上記解析からRbpj-8 KOマウスでは抗菌ペプチドを高発現するThy1陰性CD8ααIEL が減少する。過去の報告によると、通常は抗菌ペプチドの働きにより、腸内細菌と上皮細胞とは一定の距離が保たれている。しかし、抗菌ペプチドを欠損するマウスでは、腸内細菌が上皮細胞間に接するという報告がなされているため、腸内細菌への影響に着目した。FISH法を用いて回腸での腸内細菌を検出したが、コントロールマウスとRbpj-8KOマウスでは上皮細胞との距離に変化は認められなかった。(3)TCRγδ型CD8ααIELは炎症性腸炎の抑制機能が報告されている。TCRγδ型Thy1陰性CD8ααIEL が減少するRbpj-8KOマウスにDSS腸炎を誘導したが、体重減少には変化は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TCRγδ型CD8ααIELの2種のIEL(Thy1陽性とThy1陰性)の遺伝子発現の違いを確認した。また、Rbpj-8KOマウスのTCRγδ型CD8ααIELで発現が低下する遺伝子群の発現変化を確認し、このことに基づいた腸内細菌の解析を行ったほか、大腸炎モデルの解析など予定した実験計画が実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
TCRγδ型CD8ααIELの亜種であるThy1陽性IELとThy1陰性IELは遺伝子発現様式が異なるため、今後はこれらIELの機能的な違いを解析していく。また、Rbpj-8KOマウスのTCRγδ型CD8ααIEL において低下する遺伝子の機能に着目し、Rbpj-8KOマウスにおいて生じる生理的な影響を解析する。特にIELは上皮細胞や腸内細菌と密接に関連していると考えられるため、Rbpj-8KOマウスにおける上皮細胞や腸内細菌叢への影響に加えて、腸炎モデルを適応して変化を調べることを通して、Notchシグナルが担うTCRγδ型CD8ααIELにおける働きを明らかにする。
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Research Products
(1 results)