2018 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティクス修飾による抗腫瘍免疫増強法の探索
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18K15196
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
古澤 之裕 富山県立大学, 工学部, 講師 (80632306)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / がん免疫 / Treg / PD-L1 |
Outline of Annual Research Achievements |
悪性腫瘍に対する新たな薬剤療法として、分子標的薬を使用したがん免疫療法が注目を集めているが、高額な薬剤費による医療費の圧迫や耐性がんの出現が問題となっており、別なアプローチが求められている。 本研究では、従来の抗体医薬品を用いたがん免疫療法に代わる新たな方法を模索するため、低分子化合物によるエピジェネティクス制御に着目して研究を行った。 まずH30年度は、がまずん免疫を抑制する制御性T細胞(Treg)の分化を抑制するHDAC阻害薬のスクリーニングを拡大した。ほとんどの薬剤はTreg誘導を促進する方向にはたらいたが、その中で2つの薬剤についてはTreg抑制作用を示した。 特に強い抑制作用を示したHDAC阻害薬を用いて、メラノーマ細胞のPD-L1発現におよぼす影響についても評価したところ、多くの薬剤はPD-L1発現を増加させる作用を示す一方で、Treg抑制をもつ本HDAC阻害剤についてはPD-L1発現も抑制していた。 メラノーマ細胞のHDACアイソザイムをゲノム編集により欠損させたところ、この発現抑制作用が見られなくなったことから、当該HDACを介したPD-L1発現制御機構があると考えられた。 以上のことより、HDAC阻害薬の中にはTreg抑制やPD-L1発現抑制を介して、がん免疫の増強にはたらくものがある可能性が示された。現在詳細なメカニズムを調べるとともに、in vivoの腫瘍移植モデルにおける検討を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
HDAC阻害剤スクリーニングの結果より、TregやPD-L1を抑制する薬剤候補を同定することができた。 H31年度はHDACアイソザイムによる調節メカニズムを調べるとともに、腫瘍移植モデルの検討に進んで行く。
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Strategy for Future Research Activity |
標的となるHDACアイソザイムをマウスで全身欠損することは胎生致死の関係で不可能のため、腫瘍側での欠損を行いメカニズムの解明を進めている。現在ゲノム編集技術を用いてメラノーマでの欠損が可能であることがわかったため、別のがん細胞種でも進めて行きたいと考えている。
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Causes of Carryover |
年度末に導入した物品について、キャンペーン期間中で小額の差額が生じたため。
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