2019 Fiscal Year Research-status Report
内臓脂肪CD4 T細胞の免疫老化を標的とした糖尿病・心血管疾患の新規治療法の開発
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18K15197
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
白川 公亮 新潟大学, 医歯学総合研究科, 日本学術振興会特別研究員 (30626388)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オステオポンチン / 内臓脂肪 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
減量によりインスリン抵抗性が改善するが、肝臓を中心とした多臓器の炎症は改善しても、内臓脂肪の慢性炎症は遷延し続けることが報告されていた。減量による内臓脂肪の免疫老化への影響を検討すべく、30週齢の高脂肪食負荷マウスを、高脂肪食継続群と通常食に変更群に分けて解析した。8週間通常食に変更した群では、体重及び内臓脂肪、肝臓重量が通常食負荷持続群と同程度まで減少したが、Spp1をはじめとした内臓脂肪の炎症性遺伝子の発現は高脂肪食負荷継続群と同等であり、有意な改善は認めなかった。また、血中のインスリン濃度や耐糖能・インスリン抵抗性は完全には回復していなかった。減量後の内臓脂肪では、慢性炎症の起点であるCrown-Like Structureは寧ろ有意に増加し、免疫老化したCD4 T細胞、 特にPD-1hiCD153+ CD4 T細胞は減量群で有意に増加していた。ヒトでは減量しても、その後の心血管疾患イベントは抑制されないことが報告されている 。また、血中のオステオポン濃度が高いと心血管疾患イベントの発症が増加することも報告されており、減量後も老化の形質を持ったPD-1hiCD153+ CD4 T細胞がオステオポンチンを産生し続けることが心血管疾患のリスクになることを報告した(Plos one. 2018)また、近年糖尿病の治療薬のみならず、心血管疾患の抑制効果を持つことが報告されているSGLT2阻害薬の投与による免疫老化への影響を検証した。高脂肪食負荷による肥満マウスを解析したが、SGLT2阻害薬投与による減量では内臓脂肪のPD-1hiCD153+ CD4 T細胞を中心とした免疫細胞には、ほとんど影響を及ぼさないことを報告した(Plos one. 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高脂肪食負荷肥満マウス解析のために現在高脂肪中負荷中であり、30週齢で解析予定であり負荷に時間が経過しているため。また、論文投稿準備中のため。
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Strategy for Future Research Activity |
高脂肪食負荷肥満にしたWild-typeやPD-1 KO, Osteopontin-EGFP KIマウスの内臓脂肪をFlow cytometryもしくは蛍光免疫染色にて免疫細胞もしくはオステオポンチンの産生を解析予定である。内臓脂肪の炎症マーカーの定量PCRによる評価やウエスタンブロット法によるタンパク質の発現を解析する。また、論文投稿に向けて準備していく。
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Causes of Carryover |
高脂肪食負荷マウスの飼育スケジュールが遅延したため。また、論文投稿及び新規必要実験が生じたため。次年度使用額を、論文投稿及び新規必要実験、リバイス実験の消耗品購入費に充てる予定である。
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