2018 Fiscal Year Annual Research Report
膵がんにおけるVasohibin-2の役割と作用機構の解明
Project/Area Number |
18K15205
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯田 理恵 東北大学, 加齢医学研究所, 学術研究員 (10816771)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | Vasohibin-2 / Vash2 / 膵がん / 浸潤 / 転移 / MDSC / 脱チロシン化チューブリン / 血管新生 |
Outline of Annual Research Achievements |
KPCマウスは、KRASの恒常活性型変異体(G12D)とp53の変異体(R172H)を膵臓局所的に発現させることで膵がんの自然発症を引き起こすマウスモデルとして広く用いられている。本研究では、膵がんにおけるVasohibin-2 (Vash2) の役割について検討するために、KPCマウス由来がん細胞やヒト膵がん細胞株にVash2のshRNAプラスミドを導入して恒常的にノックダウンした細胞を作製し、増殖能、遊走能、浸潤能を評価した。その結果、Vash2ノックダウン細胞株では遊走能、浸潤能の低下が見られた。KPCマウス由来膵がん細胞をマウスに尾静脈注射し肺転移の評価を行った結果、Vash2をノックダウンした細胞株を注射した場合では顕著な肺転移の抑制が見られた。同所移植モデルにおいても、Vash2ノックダウン細胞株を移植した場合では膵がんの進行が抑制されていた。次に、個体レベルでの検証のためにKPC/Vash2野生型マウスとKPC/Vash2欠損マウスの比較を行った結果、Vash2欠損マウスでは多臓器への浸潤・転移が著しく抑制されていた。膵がんにおけるVash2の遺伝子発現制御について明らかにするため、コントロール細胞株と、Vash2ノックダウン細胞株を用いてマイクロアレイを行い、Pathway解析を行ったところ、骨髄由来免疫抑制細胞(MDSC)を誘導するケモカインやサイトカインの発現が主に変化していることがわかった。そこで、KPCマウスで自然発症した膵がん組織において免疫組織化学染色を行った結果、KPC/Vash2欠損マウスの腫瘍組織内では、MDSC数が減少しており、CD8陽性T細胞の浸潤が上昇していた。以上の結果から、Vash2はがん細胞自身の遊走を促進することに加え、抗腫瘍免疫の回避を引き起こすことで膵がんの進行に寄与していることが示唆された。
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Research Products
(3 results)