2019 Fiscal Year Research-status Report
Novel therapeutic strategy for sarcomas by targeting PPRX1 positive cancer stem-like cells
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18K15212
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
山田 大祐 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50733680)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | PRRX1 / 骨肉腫 / 薬剤抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、骨肉腫細胞におけるPPRX1の機能を中心に解析を行った。Prrx1-CreあるいはCol1a1-Cre / p53flox, Rbflox遺伝子改変マウスでは骨肉腫が自然発症することが報告されているが、それらの腫瘍でPrrx1が発現しているかに関しては解析がなされていなかった。そこで、それらの腫瘍サンプルを用いて免疫染色を行った結果、Prrx1が腫瘍領域で発現していることが判明した。次に、ヒト由来骨肉腫細胞株である143B(高転移性株)とHOS(低転移性株)を使用して実験を行った。これらの細胞株において、PRRX1をノックダウンした後にWST-8アッセイを実施した結果、ノックダウンした細胞において有意に増殖性が低下することが判明した。PRRX1ノックダウン後の浸潤能と遊走性に関する比較実験も行ったが、興味深いことに高転移性株である143Bのみでこれらの減少が観察された。次に、ドキソルビシンに対する感受性に関しても比較を行ったが、143B細胞株においては、PRRX1のノックダウンによってドキソルビシンに対する感受性が増加することが判明した。最後に、PRRX1をノックダウンした143B細胞株を移植し、腫瘍の増殖性への影響に関して解析を行った結果、PRRX1のノックダウンによって腫瘍の増殖性が有意に減少することが判明した。以上の結果から、骨肉腫において、PRRX1は悪性化を促進する役割を担っていることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度にPRRX1の発現量と骨肉腫患者の予後には正の相関性があることを明らかにしたが、本年度の結果はそのことを裏付けるものである。さらに、骨芽細胞を起源とする骨肉腫において、Prrx1が発現していたことは、骨芽細胞が脱分化したことによって腫瘍が発生したことを示唆するものである。従って、骨肉腫の発生並びに悪性化にPRRX1が重要であることが示されたことから、本研究は順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
四肢における骨芽細胞は肢芽間葉系細胞を起源とする細胞であり、肢芽間葉系細胞はPrrx1陽性であることが報告されている。このことから、骨肉腫細胞は肢芽間葉系細胞に近い性質を持っている可能性が考えられる。そこで、骨肉腫細胞と肢芽間葉系細胞のRNA transcriptome解析を行い、両者の相関関係を解析する。次に、肢芽間葉系細胞から骨芽細胞を効率よく誘導できる系を樹立した後、その手法を骨肉腫細胞に適応することで、分化誘導による抗腫瘍効果を検討する。
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