2018 Fiscal Year Research-status Report
A study of molecular biology and liquid biopsy for non-small cell lung cancer positive for HER2 mutations
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18K15214
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩間 映二 九州大学, 医学研究院, 助教 (40567343)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HER2遺伝子変異 / 分子標的治療薬 / リキッドバイオプシー |
Outline of Annual Research Achievements |
ERBB2 (HER2) 遺伝子変異は非小細胞肺癌の2-4%に認められ、いわゆるドライバー遺伝子変異の一つと考えられているが、有効な分子標的治療の開発に至っていない。本研究においては、血中の腫瘍由来抹消循環遊離DNA(cfDNA)からの非侵襲的なHER2遺伝子変異の検出法を開発、HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌に対する治療経過中のHER2遺伝子変異のモニタリングを行うことで同疾患に対する治療開発の一助とするとともに、HER2遺伝子変異陽性肺癌の分子生物学的特性を明らかにすることを目的とする。 1)本年度は2例のHER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌症例に対して治療を開始した。倫理審査委員会で承認を得たプログラムにより治療経過中の血液検体を適正に保存した。これらの検体を用いて来年度以後にcfDNA解析を行い、治療経過中のHER2遺伝子変異の推移、耐性遺伝子異常発現などについてモニタリングを行う。 2)HER2遺伝子変異陽性細胞株であるH1781、野生型HER2高発現株であるCalu-3、強制発現用に野生型HER2、HER2 A775_G776insYVMA、HER2 A775_G776insV,G776Cを挿入したプラスミドの用意、準備を行った。また、ウェスタンブロッティングによりHER2発現を確認した。これらを用い、来年度以後、野生型HER2と変異型HER2のタンパク内在化の差異を検討する実験を行う。 3)PLA法(受容体に対する抗体に試薬を結合させ、受容体同士が近づくと試薬間の反応が起こり蛍光が発することを利用したアッセイ)を用いてEGFRと野生型HER2のヘテロダイマー形成を検出する方法を確立した。来年度以後、本法を応用し、変異型HER2と他のHERファミリーの結合について検討する実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時において、本研究の方法として下記5つを挙げている。1. dPCRによるHER2遺伝子変異の高感度かつ定量的検出法の確立、2. HER2遺伝子変異型別の各種抗HER2薬に対する感受性の検討、3. cfDNAからのHER2遺伝子変異の診断、治療経過中のモニタリング、4. ErbBファミリーとのダイマー形成と下流シグナル伝達に関する研究、5. T-DM1によるHER2遺伝子変異活性の抑制機序の解明。本年度は1.3.に関しては検体の収集、保存を行っており、2.4.5.に関しては必要な試料の準備、アッセイの確立を終えているため、来年度以後に円滑に目的を達成できると考えており、全体としておおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
HER2遺伝子変異陽性の非小細胞肺癌症例をさらに同定し、治療経過中の血漿検体の保存を行い、HER2遺伝子変異の推移、耐性遺伝子異常発現などについてモニタリングを行う。我々は本年度に、cfDNAに対して次世代シーケンサー(NGS)を使用することで網羅的な遺伝子異常を検出可能であったことを報告しており、単一遺伝子のみ測定可能なdigital PCRではなくNGSを利用することを検討する。 その他の研究として、細胞株、HER2発現プラスミドを用いて野生型HER2と変異型HER2のタンパク内在化の差異を検討する実験を行う。PLA法(受容体に対する抗体に試薬を結合させ、受容体同士が近づくと試薬間の反応が起こり蛍光が発することを利用したアッセイ)を用いて、変異型HER2と他のHERファミリーの結合について検討する実験を行う。Ba/F3細胞に対して各種HER2遺伝子変異を遺伝子導入し、T-DM1を始め、HER2-TKIs、抗HER2抗体に対する感受性をMTS assayにて確認し、最善の分子標的治療法の検討を行う。
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