2018 Fiscal Year Research-status Report
xCT発現がん幹細胞におけるグルタミン酸関連特性の包括的解明
Project/Area Number |
18K15215
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
土橋 賢司 九州大学, 大学病院, 助教 (20773675)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | グルタミン酸 / xCT / NMDA / 脳腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
EGFR(上皮成長因子受容体)を高発現している脳腫瘍細胞は、悪性度が高いことが知られている。EGFR高発現脳腫瘍細胞は、非高発現脳腫瘍細胞に比べ、シスチン-グルタミン酸交換輸送体であるxCTを高発現している。実際にグルタミン酸が、脳腫瘍細胞の悪性度に関与しているか検討するために、グルタミン酸受容体阻害剤を用いて検討した。その結果、NMDA受容体阻害剤によりEGFR高発現脳腫瘍細胞の遊走能が抑制された。またグルタミン酸によるNMDA受容体の活性化により細胞内にCa[2+]の流入が生じるが、NMDA受容体の阻害剤によりCa[2+]流入が抑制されることを確認した。EGFR高発現脳腫瘍細胞におけるグルタミン酸受容体を介した悪性形質獲得機構を明らかにするために、グルタミン酸受容体のリン酸化に着目した。その結果、EGFRのリガンドであるEGFの添加により、NMDA受容体のリン酸化による活性化が生じることを明らかにした。この結果より、EGFRのEGFの結合を介した活性化が、NMDA受容体をリン酸化する仮説を立てた。実際にin vitroキナーゼアッセイで、EGFRが直接NMDA受容体(GluN2BのY1474)をリン酸化することを確認した。また免疫沈降実験により、EGFRとNMDA受容体(GluN2B)は結合していることを確認した。この結果より、EGFR-xCT高発現脳腫瘍細胞の悪性形質獲得には、EGFRを介したグルタミン酸受容体であるNMDA受容体の活性化が重要であることが明らかになった。最後にマウスを用いたモデル実験において、EGFR高発現脳腫瘍細胞の増殖は、xCT阻害剤にNMDA受容体阻害剤を併用することで著明に抑制されることが確認され、EGFR-xCT高発現脳腫瘍においては、xCT阻害とNMDA受容体阻害の併用が有効な治療戦略になる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画内容とは異なる点があるもののグルタミン酸受容体の新規活性化機構を解明できた。またEGFR-xCT高発現脳腫瘍においてxCT阻害とグルタミン酸受容体の共抑制が治療戦略となる可能性を示せた。
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Strategy for Future Research Activity |
主に脳腫瘍において、グルタミン酸、その輸送体・受容体に着目して研究を行ってきた。今後は、他がん腫における検討を予定している。また、エピトランスクリプトームというRNA修飾が、様々な分子発現を制御していることが報告されている。このエピトランスクリプトームとの関連も検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
予定よりも要した費用が少なく、次年度使用額が生じた。次年度の物品費に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Epidermal growth factor receptor promotes glioma progression by regulating xCT and GluN2B-containing N-methyl-d-aspartate-sensitive glutamate receptor signaling2018
Author(s)
K Suina, K Tsuchihashi, J Yamasaki, S Kamenori, S Shintani, Y Hirata, S Okazaki, O Sampetrean, E Baba, K Akashi, Y Mitsuishi, F Takahashi, K Takahashi, H Saya, O Nagano (K Suina and K Tsuchihashi contributed equally)
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Journal Title
Cancer Science
Volume: 109
Pages: 3874-3882
DOI
Peer Reviewed / Open Access