2018 Fiscal Year Research-status Report
網羅的遺伝子解析から抽出した遺伝子産物を指標とする乳癌細分類の試み
Project/Area Number |
18K15225
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Research Institution | Aichi Medical University |
Principal Investigator |
井戸 美来 愛知医科大学, 医学部, 助教 (70740968)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳癌 / トリプルネガティブ / FAM64A / 網羅的遺伝子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
FAM64A は転写抑制因子TSHZ2による抑制がはずれて、ある種の乳癌で過剰発現しているタンパク質のひとつである。本研究の目的はFAM64A 蛋白の細胞内での役割を解析し、FAM64A 陽性乳癌の臨床的特徴を解析することにより、乳癌の細分類に利用可能なマーカー、新規分子標的を提示する事である。現在までに愛知医科大学病院で手術された浸潤性乳管癌検体197例に対して免疫染色を行い、FAM64A陽性例の臨床データ、特に年齢、サブタイプ、組織学的グレード、Ki-67 index、リンパ節転移、腫瘍径、ステージ等の臨床病理学的特徴との相関を解析した。その結果FAM64A陽性例は特にTNBCで多く、陰性例に比べると組織学的グレートとKi-67 indexが高い傾向にあった。加えて、ヒト乳癌細胞株を用いた分子生物学的実験を行った。その結果FAM64AにはExon5のalternative splicingによる転写産物アイソフォームが存在すること、TNBC細胞株ではそのうちのisoform1のみを発現していること、またFAM64A発現TNBC株は野生型BRCA1/2を持っていることが示された。さらにFAM64A発現TNBC細胞株は、FAM64A特異的siRNA処理により細胞周期G2/M期で停止しその後細胞死を起こすこと、さらにその際DNA二本鎖切断のマーカーgH2AXが著増することが示された。またLC/MSを用いた解析よりFAM64Aは、複製機構安定化や抗がん剤耐性にかかわる核蛋白SMARCA5・BAZ1B複合体と結合することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
臨床医として日々の臨床診療を行いながら、研究室で基礎研究を行うことは、現実的に実験の為に時間を取ることやスケジュール管理が難しく、予定通りに研究が進まない状況が続いていた。研究室にて行う基礎実験は、初めての事ばかりでもあり、ひとつひとつ時間がかかってしまい、また失敗して結果が出ない事が多くあった。 また、妊娠契機に体調不良の時期があった事や産休取得などの私情も重なり、研究を進める事が困難となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当院乳癌手術検体に対する免疫染色の数をさらに増やし、統計学的な検討を行いFAM64A陽性症例の臨床的特徴を明らかにする。乳癌細胞株においてTSHZ2発現低下により発現亢進する遺伝子として同定された1114個の遺伝子のうち、複数のpublic databaseと比較し、乳癌の特にTNBCの発生・進展に関与する可能性のある遺伝子として、FAM64Aの他に4つの遺伝子を絞り込んだ(FAM83D,FOXM1,DLGAP,DONSON)。今後、これらに対する市販抗体をもちいて、当院の手術検体で免疫染色を行う。さらにFAM64Aと同様の分子生物学的実験を通してこれらの遺伝子の細胞機能を探ることにより、今後これらの遺伝子産物各々を指標とした乳癌サブグループ化を試みる。
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Causes of Carryover |
蛋白に対する抗体など基礎実験に必要な用具や薬剤など。 乳癌の分子生物学的知識や実験に関する知識を得るための書籍。 データ収集、解析などのために必要なパソコンソフトウェアなど。
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Research Products
(1 results)