2018 Fiscal Year Research-status Report
Pseudokinase Trib1によるAMLのエピゲノム修飾
Project/Area Number |
18K15227
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
芳野 聖子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 発がん研究部, 研究員 (40793617)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | Trib1 / Hoxa9 / C/EBPα / ChIP-seq / 白血病 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性骨髄性白血病(AML)の発症と進展において、Hoxa9とC/EBPαは重要な転写因子であるが、Pseudokinase Trib1はその双方の機能を修飾することで更なる悪性化をもたらす。本研究では、Trib1がC/EBPα, Hoxa9の転写制御ネットワーク改変を通じて、白血病悪性化を促進する機構を明らかにする。H30年度は、Trib1が制御するHoxa9標的遺伝子の同定を目指した。既に作製済みである、Trib1の発現量が異なるHoxa9導入不死化細胞株のTrib1 null及びhiについて、Hoxa9とC/EBPのChIP-seq解析からDNA結合部位の近傍遺伝子を同定した。またH3K27AceのChIP-seq解析からRoseアルゴリズムを用いてスーパーエンハンサーを抽出し近傍遺伝子を同定した。さらにアレイ解析から、Trib1の有無で発現が変動する遺伝子を抽出した。これらTrib1が調節するHoxa9標的遺伝子群には、AMLの不良な予後と相関する遺伝子が含まれていた。また、Trib1による転写ネットワーク制御について、Trib1の2つの機能であるC/EBPα分解とERKシグナル亢進に分けて検証した結果、Trib1によるC/EBPα分解が特に重要である可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の目標である、Trib1が制御するHoxa9標的遺伝子の同定に必要なエピゲノム解析やアレイ解析が、概ね順調に進行した。今後はこれら標的遺伝子の検証に着目し、本課題を遂行する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、同定されたHoxa9標的遺伝子をTrib1 null細胞に導入、または標的遺伝子のshRNAをhi細胞に導入して、in vitroの細胞増殖やin vivoでのAML発症能を検討する。既に行ったH3K27Aceに加えて、他のヒストンマーカーのChIP-seq解析を行い、Trib1の発現量の違いによるヒストン修飾の差を明らかにする。一方、エンハンサー機能を抑制する阻害剤を用いて、Trib1による制御がキャンセルできるか評価する。以上より、Trib1によるHoxa9とC/EBPαの機能制御やエピゲノム修飾に及ぼす影響を明らかにし、AMLの悪性化に関わる新たな知見を得る。さらに次年度では、これまで得られた研究結果をまとめ論文投稿を行う。
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