2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K15238
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
北沢 将人 信州大学, 学術研究院医学系(医学部附属病院), 講師 (10467152)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | KRAS変異 / 大腸癌 / MEK阻害剤 / BCL-XL阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではGFPで標識されたKRAS変異遺伝子導入細胞とGFPで標識されていないコント ロール細胞を混ぜて培養し、GFPの陽性率の変化をフローサイトメーターで測定し評価するミックスカルチャーアッセイを確立した。本方法を用いることにより、KRAS遺伝子変異に有効な分子標的薬や2剤併用による相乗効果を安定して評価も可能である。 我々はミックスカルチャーアッセイにより、KRAS変異大腸癌細胞(G12D、G12V、G13D)が野生型と比較して、MEK阻害剤の感受性が高いこと、さらにMEK阻害剤の感受性がBCL-XL阻害剤の併用により増強するこを証明した。さらに、我々はそのメカニズムについて解析した。KRAS遺伝子変異導入大腸癌細胞はMEK阻害剤とBCL-XL阻害剤併用により、KRAS野生型遺伝子導入大腸癌細胞と比較し、細胞死が増加していた。また、ウエスタンブロッティングにより活性型カスパーゼ3が増加していることを確認し、そのメカニズムがアポトーシスであること証明した。 現在、ヌードマウスの皮下移植実験を行っている。KRAS変異遺伝子(G12V)は野生型と比較し、腫瘍形成能が高く、その組織では腺腔構造が異なっていた。また、形成された腫瘍のmRNAをリアルタイムPCRで解析すると、G12Vは野生型と比較し、BCL-XLの発現が優位に高いことを証明した。In vivoにおける薬剤の効果を解析中であるが、KRAS変異大腸癌に対して、MEK阻害剤とBCL-XLの併用が有効な治療になり得ると考え、その作用およびメカニズムについてさらなる解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ミックスカルチャーアッセイの結果より、KRAS変異大腸癌細胞に対してMEK阻害剤とBCL-XL阻害剤が有効である可能性が示唆された。さらに、MEK阻害剤とBCL-XL阻害剤の併用がKRAS変異大腸癌に有効であるメカニズムを解析するため、ウエスタンブロッティングやリアルタイムPCRを行い、良い結果を得られた。現在行っているIn vivoの解析が進めば、1年以内に論文にまとめることが出来ると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
KRAS変異大腸癌に対して有効な標的分子を検索し、MEK阻害剤とBCL-XL阻害剤の併用が候補となり、そのメカニズムを解析した。ヌードマウスの皮下移植実験を行い、In vivoのデータを集積し、臨床応用が出来ればと考えている。 また、ミックスカルチャーアッセイを用いて、KRAS変異大腸癌に対して有効な他の標的分子を検索することやKRAS以外にBRAF、PI3K変異などに対しても有効な治療標的がないか検討できればと考えている。
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Causes of Carryover |
多数の分子標的薬、抗体を購入予定であったが、解析する分子が予想よりも少なくなったため、購入数が少なくなり、使用額が少なかった。 今後はIn vivoの解析を行うため、多くのマウスや試薬の購入が必要である。また、サンプルの網羅的解析を行うため、外部受託検査を検討しており、今後は使用額が多くなると予想され、そちらに使用させていただく予定です。
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