2018 Fiscal Year Research-status Report
BRAF遺伝子変異陽性肺癌の臨床像、薬剤感受性に関する研究
Project/Area Number |
18K15251
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
池村 辰之介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30445291)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | BRAF遺伝子変異肺癌 / 非小細胞肺癌 / 希少遺伝子変異 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドライバーがん遺伝子として知られているBRAF遺伝子の変異は、非小細胞肺癌のうち1~3%と報告されている。本邦でも全国規模の肺癌遺伝子変異クリーニングシステム LC-SCRUM-Japanで同頻度に検出され、その約6割はさらに稀な「V600E以外の遺伝子変異」であった。今後、次世代シークエンサーが臨床導入される予定であり、日常臨床でもBRAF遺伝子変異陽性肺癌の検出頻度が増加することが予想される。 しかし、稀な遺伝子変異であるがゆえに、その臨床像、生物学的背景などは十分に明らかにされていない。そして、他癌腫を含めBRAF遺伝子変異の中で半数以上を占めるV600Eに関する研究が大部分であり、それ以外のさらに稀な変異群は研究が遅れている。 本研究では、このLC-SCRUM-Japanとの共同研究により、肺癌患者由来のBRAF遺伝子変異情報を取得し、そこから各BRAF遺伝子の頻度、生物学的特性、臨床像、薬剤感受性を明らかにする。そして、それらの遺伝子変異導入細胞を作製し、BRAF阻害薬をはじめとする薬剤感受性をin vitro、in vivoで評価する。稀な遺伝子変異を有する肺癌患者に適切な治療法を提供することを最終的な目的とする。BRAF V600E以外の変異を解明することで、BRAF遺伝子の分子生物学的理解がさらに進むと考えられる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・LC-SCRUM-JapanにおけるBRAF遺伝子変異肺癌患者の臨床的背景、治療効果、予後についてデータ解析中である。 ・各種遺伝子変異を有するBRAFを恒常的に発現する細胞株(Ba/F3 cellを用いたStable cell line)を作成した。現在、Stable cell lineを使用して、各種薬剤感受性、パスウェイ解析を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
・現在まで作成したStable cell lineを用いて、BRAF阻害薬であるVemurafenibあるいはDabrafenibによって、それら細胞株の増殖能は抑制、アポトーシスは誘導されるかを検討する。 ・BRAF阻害薬であるVemurafenibあるいはDabrafenibにMEK阻害薬TrametinibあるいはCobimetinibを加えることによって、更なる抗腫瘍効果をもたらすかを検証する。 ・さらにBRAFパスウェイのERKや、PI3K-AKTパスウェイなどの分子標的薬との相互作用も解析する。 ・有望な治療法があれば、xenograft model mouseでも薬剤感受性を確認する。 以上によりin vitro、in vivoの感受性データを蓄積し、学会報告、論文発表し、データを公表する予定である。
|