2018 Fiscal Year Research-status Report
末梢血循環腫瘍細胞を用いた小細胞肺癌の治療効果予測と新規治療法への発展
Project/Area Number |
18K15266
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
天野 陽介 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50749330)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 末梢血循環腫瘍細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は小細胞肺癌患者の末梢血から末梢血循環腫瘍細胞(CTC)を抽出、培養する手技の確立および、得られた細胞を用いた遺伝子解析、薬剤感受性試験の実施、ひいては治療標的の探索を目的とする。 研究計画にもとづき、まずは少数の小細胞肺癌細胞株SHP77を健常者末梢血に混入させ、RosetteSepによるCD45を主とした血球細胞をnegative selectionとして除去を行ったところ、得られた細胞はフローサイトメーターにおいてもとの細胞株と同様に上皮系マーカーEpCAMおよび神経内分泌マーカーNCAM陽性であり、白血球1x10^7あたり1x10^4の腫瘍細胞があれば血球除去後95%の純度で回収ができた。また、フローサイトメーターで検出が困難になる1x10^2の腫瘍細胞においても、分離後培養することで2週間程度で明確な腫瘍細胞塊を形成した。 上記予備実験を元に、実際の小細胞肺癌患者の末梢血を当院倫理委員会で承認された研究として、文書で説明・同意を得た上で採取し、CTCの分離を試みた。末梢血中のCTCが少ないためか分離ができない症例や、顕微鏡上で少数ながら分離できたものの細胞株と異なり増殖が得られない場合も多く、培養条件等については現在検討中ではあるが、順調に培養できているものでは3ヶ月以上培養継続できている腫瘍細胞もある。 以上より、本研究は継続および手技の調整により、何らかの知見を得られることが期待され、引き続き症例数を集積すると共に、得られた細胞を用いた解析を順次行っていく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当施設倫理委員会での承認に時間を要したため、患者由来の末梢血を用いた研究開始が遅れたこと、また、小細胞肺癌、とくに未治療例、進展期(進行症例)症例の集積が遅れていることが原因と考える。 今後、分離・培養手技が確立していくことで順調に各症例の分離腫瘍細胞が蓄積し、解析にすすめていけるものと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、分離・培養手技の確立を進めていき、症例蓄積を行っていく。分離細胞のゲノム解析を行うに当たっては、倫理的な観点、個人情報保護の観点から再度倫理委員会からの承認が必要となるため、並行して申請手続きを行っていく。 培養が進んだところで、小細胞肺癌で用いる抗癌剤や、ゲノム解析にもとづく治療標的があればその分子標的薬等の薬剤感受性検査などを合わせて行うことで、CTCの統合的解析を行っていくとともに、ひろく実用化可能かどうかも合わせて検討していく。
|
Causes of Carryover |
当施設倫理委員会での承認の遅延のため、実際の患者検体を用いたCTCの分離・培養作業の開始が遅延したことが理由として挙げられる。 来年度は患者検体の集積が進むと共に、ゲノム解析や解析にもとづく治療薬の購入などにも予算が割かれるため、今年度残額(次年度使用額)含めて必要になると考えられる。
|