2018 Fiscal Year Research-status Report
トリプトファン代謝に着目した癌免疫療法抵抗性の病態解明
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18K15272
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
二宮 空暢 岐阜大学, 医学部附属病院, 助教 (90444281)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | がん免疫 / トリプトファン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、必須アミノ酸であるトリプトファンの代謝酵素であるIDOの発現環境下でBlinatumomab結合T細胞がどのような影響をうけるかを検討した。Blinatumomabは,腫瘍抗原を標的とする一本鎖抗体(scFv)とT細胞上のCD3εを認識するscFvを結合させた,2つのscFvからなる抗体であり、腫瘍細胞とT細胞がBlinatumomabを介して物理的に会合することで,CD3陽性T細胞が増殖、活性化し,グランザイムやパーフォリンを介して癌細胞傷害活性を発揮する。トリプトファンの代謝産物であるキヌレニンを加えた培地およびトリプトファン濃度を低下させた培地条件にて健常人の末梢血単核球を用いてIL2添加条件においてBlinatumomab結合T細胞の増殖能を調べた。その結果、キヌレニンは容量依存的にBlinatumomab結合T細胞の増殖を有意に抑制することがわかった。さらに、Blinatumomab結合T細胞のアポトーシスをフローサイトメトリーを用いてAnnexin Vアッセイにて検討すると、キヌレニンはアポトーシスを誘導していた。続いて、T細胞の活性化能を培養液中のIL2、INFγをELISA法にて測定したところ、キヌレニン添加培地では有意に低下しており、T細胞の機能抑制が起きていると考えられた。つまり、Blinatumomabが結合し活性化T細胞は、IDO発現環境中で抑制されている可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の予定どうりに実験が進み、結果がでたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、IDOを遺伝子導入した腫瘍細胞(RajiIDO)を使用し、Blinatumomabの抗腫瘍効果を検討する。共培養の実験系を確立し、フローサイトメトリーを用いて検討する。順調にすすめば、マウスを用いた実験に進む予定である。
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Causes of Carryover |
今年度は実験の準備段階であり、来年度より本格稼働するため、実験器具・試薬の購入費増加が予想される。従って翌年度への繰り越しが生じた。 また成果発表の為、国際学会ならびに国内学会での発表旅費が考えられる。
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