2019 Fiscal Year Research-status Report
中鎖脂肪酸誘導体による慢性骨髄性白血病の耐性克服機構の解明
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18K15273
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
篠原 悠 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 特任研究員 (10787047)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 慢性骨髄性白血病 / 中鎖脂肪酸 / オートファジー |
Outline of Annual Research Achievements |
抗がん活性を示す中鎖脂肪酸誘導体の標的分子として、昨年度同定した20個の分子についてウェスタンブロット解析を行い、特に5つのタンパク質が中鎖脂肪酸誘導体に強く特異的に結合していることを明らかにした。 昨年度までの研究で中鎖脂肪酸誘導体はがん細胞特異的な代謝機構に対して作用すること、オートファジーによるタンパク質分解を介して慢性骨髄性白血病のドライバー分子BCR-ABLのタンパク質発現を抑制することを明らかにしてきた。本年度同定した5つの分子は、がん細胞の代謝やオートファジーに関わることが報告されており、これまでに明らかにしてきた中鎖脂肪酸誘導体の抗がんメカニズムと関連があることが示唆された。各分子のノックダウンベクターを作成し、各分子の機能の解析と抗がん作用との関連性を明らかにするための実験を進めている。 ヒトに投与可能な中鎖脂肪酸誘導体のドラッグデリバリーシステム(DDS)として、ドキソルビシンやパクリタキセルなど既存の製剤を参考にリポソーム製剤およびアルブミン製剤の作製を行い、中鎖脂肪酸誘導体の水溶性の改善を試みた。in vitro実験系における各DDS製剤の抗がん作用を検討し、DDSを用いた場合にも中鎖脂肪酸誘導体の抗がん活性が維持されること、溶媒中での中鎖脂肪酸誘導体の分解時間が延長し安定性が増すことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中鎖脂肪酸誘導体の標的分子はこれまでまったく明らかになっていなかったが、昨年度同定した20個の候補タンパク質からさらに5つまで絞り込むことができた。また、絞り込んだ5つの分子に関しても既報から中鎖脂肪酸誘導体の抗がん作用に関与していることが示唆され、今後の機能解析で中鎖脂肪酸誘導体の根本的な作用メカニズムの解明につながると考えられるから。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度明らかにした5つの標的候補分子についてノックダウン実験を行い、機能と中鎖脂肪酸誘導体の作用メカニズムとの関連性を明らかにする。 マウスモデルにおいてDDSを用いた中鎖脂肪酸誘導体の薬効評価を行う。
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