2020 Fiscal Year Annual Research Report
Biological mechanisms of IDH-mutated astrocytomas harboring only 19q-loss
Project/Area Number |
18K15286
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Komagome Hospital (Clinical research laboratory) |
Principal Investigator |
大谷 亮平 東京都立駒込病院(臨床研究室), 脳神経外科, 医長 (30786968)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グリオーマ / サブグループ / genomics |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は以前、IDH変異型星細胞腫の中に19q欠損のみを有するサブグループが存在し、乏突起膠腫様の形態を示すと共に、19q欠損がない星細胞腫に比べて全生存期間が有意に長いことを報告した。このサブグループの生物学的特性を明らかにし、比較的良性の臨床挙動のメカニズムを解明するために、我々は5例の19q-lossと5例の19q-intactのIDH変異型星細胞腫の遺伝子発現パターンを、マイクロアレイ解析にて比較した。 19q-loss星細胞腫と19q-intact星細胞腫の遺伝子の発現レベルを比較することで、102の発現亢進遺伝子と162の発現低下遺伝子が抽出された。発現低下した遺伝子は、19qと4pに集中し、上昇した遺伝子は4qに集中していた。19q欠損の星細胞腫では、幹細胞の維持に関連する fibroblast growth factor 1や、グリオーマの進行に関連する複数の遺伝子が発現低下しており、これらの結果は独立したTCGAデータセットでも同様の結果であることを確認した。19q-loss星細胞腫の発現パターンを、TCGAデータセットの他のグリオーマサブグループと比較するためにt-SNE解析したところ、19q-loss星細胞腫の発現パターンは、1p/19q 共欠失を伴う 乏突起膠腫へのシフトは見られず、むしろ星細胞腫のサブグループを構成していた。これらの結果は、星細胞腫における19q欠損は、乏突起膠腫における1p/19q 共欠失のような発がんの初期イベントではなく、後天的なイベントである可能性が高いことが示唆された。また、19q欠損星細胞腫の生物学的特徴は、幹細胞の維持やグリオーマの進行に関連する遺伝子の発現量の違いに関係している可能性が示唆された。
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