2019 Fiscal Year Research-status Report
蛋白多量体化阻害ペプチドによる新規抗癌機序の解明と細胞内デリバリーシステムの探索
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18K15300
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
平井 理子 旭川医科大学, 大学病院, 特任助教 (90596272)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 肺癌 / ペプチド / 単量体 / 分子標的薬 / EML4-ALK |
Outline of Annual Research Achievements |
ALKのkinase domainとEML4のcoiled-coil domain(cc)を含むN末端が逆位で融合してできたEML4-ALKの産物であるEML4-ALK融合蛋白は、リガンド不在下に二量体化することで下流シグナルが恒常的に活性化する。この過程には融合パートナーであるEML4のcc domainが重要である。そこでEML4のcc構造自身を競合的に作用させることによりEML4-ALK蛋白の単量体化を誘導し、癌の生存増殖を抑制できないだろうか。この問いを検証するため、まずBa/F3細胞株を用いてALK融合蛋白の量体調節モデルを作成し、単量体化による増殖への影響と下流蛋白発現、及びマウスでの腫瘍形成・増殖能を検証した。結果、単量体化によりALKリン酸化と下流シグナル発現が低下し細胞増殖が抑制されること、またマウスでは単量体化群で腫瘍形成が抑制されることがわかった。続いて蛍光モデルを用いて、EML4-ALK同士、またはEML4-ALKとEML4ccの蛋白相互作用をBa/F3にて検証した。結果EML4ccを共発現させたEML4-ALK発現細胞群においては、非共発現群に比べ蛍光強度、細胞増殖能が低下し、マウスでの腫瘍増大速度が低下したことから、EML4ccがEML4-ALKの多量体化を抑制することが示唆された。更にEML4-ALK恒常発現細胞株に対しccペプチドを投与し細胞活性を検証すると、ペプチド投与群でviabilityが低下することがわかった。またALK-TKIとccペプチドを併用した場合、TKI単独群に比べ高い抗腫瘍効果が得られ、またペプチド投与によりALKリン酸化が低下することがわかった。また細胞膜透過ペプチドをccペプチドと併用することにより、細胞内へのペプチド導入率が向上した。 以上の結果から、EML4cc domainを標的としたEML4-ALK融合蛋白の単量体化は、EML4-ALK陽性肺癌に対して新たな治療戦略となる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は概ね予定通りに進展している。但し、COVID-19感染蔓延の影響で動物実験が不可能な状態であり、再開の見通しも立っていないため、vivoでのccペプチドの抗腫瘍効果の検証実験は遂行できていない。
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Strategy for Future Research Activity |
ALK-TKI耐性株を用いてccペプチドの効果を検証する。
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Causes of Carryover |
研究活動が制限され、年度内に遂行を予定していた実験の一部が行えなかったため。状況が回復次第研究を再開し、実験材料や試薬等の購入に用いる。
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