2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a low-invasive diagnostic method for tumor characterization using macrocyclic peptide
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18K15306
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 拓輝 金沢大学, ナノ生命科学研究所, 特任助教 (20781173)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | HGF / MET / 薬剤耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
肝細胞増殖因子 (Hepatocyte Growth Factor: HGF)は、前駆体として細胞外に分泌され、全身に広く分布している。一方、臓器の損傷に伴い、その一部が活性型HGFへと変換され、細胞膜上に存在するMET受容体に結合・活性化することで、組織の修復・再生等の生理活性を示す生体分子である。一方、がん組織ではHGF-METシグナルの制御が破綻し、浸潤・転移の亢進や分子標的薬に対する耐性獲得、がん幹細胞性の獲得等の予後不良を引き起こすことが知られている。そのため全身に分布するHGFの中から、METの活性化を引き起こす「活性型HGF」を選択的に検出する方法は、がんの予後予測や治療方針を決定する上で重要な情報をもたらす新たな診断法になる可能性がある。 我々は最近、標的タンパク質に対して高い選択性で結合する特殊環状ペプチドを取得する革新的技術であるRaPID法を用いることで、活性型HGFに対して高親和性および阻害活性を有する環状ペプチド (HiP8)を取得することに成功している。本課題では、HiP8のがん診断用分子プローブとしての機能評価を実施した。 ビオチン標識したHiP8を用いて、ヒト肺がん患者由来のがん組織中に存在する活性型HGFを検出したところ、活性型HGFの分布と受容体METの活性化領域はよく一致した。また、肺がん由来PC-9細胞にHGFを過剰発現させた「薬剤耐性モデル細胞」を担がんした動物モデルを用いて、HiP8を分子プローブとするPETイメージングを実施したところ、薬剤耐性細胞を選択的に描出することに成功した。 MET受容体の選択的キナーゼ阻害剤は既に承認されているため、本研究成果は、HGF-METシグナルを対象にした診断法・治療法の開発・発展に貢献することが期待される。
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Research Products
(3 results)