2018 Fiscal Year Research-status Report
NTRK1融合遺伝子陽性腫瘍の分子標的薬耐性の分子機構解明と克服を目指す基礎研究
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18K15308
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
西山 明宏 金沢大学, がん進展制御研究所, 助教 (80770172)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 高度耐性 / 中枢神経転移 |
Outline of Annual Research Achievements |
MSI-highと並び臓器横断的な治療標的としてNTRK融合遺伝子は現在注目の遺伝子である。NTRK融合遺伝子陽性がんはTRK阻害薬が奏効し、数多くの臨床試験が施行されており、その耐性機構も徐々に解明しつつある。日本の中外製薬は2018年12月にNTRK融合遺伝子陽性がんに対するTRK阻害薬entrectinibの販売承認申請を行い、近い内に本邦でも使用できる日が来ると予想される。entrectinibをはじめ分子標的薬は一旦著効するが、必ず耐性が出現する。我々はいち早く、このentrectinib耐性のメカニズムを解析することに着目した。 実地臨床では、中枢神経病変の克服が重要課題であり、我々は脳転移病変におけるentrectinib耐性機構をマウスのin vivo imagingモデルを駆使し解析した(Clinical Cancer Research 第24巻第10号 2357頁~2369頁)。脳転移では中等度耐性のG667C変異が検出され、同時のその克服方法も判明した。 同じようにNTRK1融合遺伝子陽性の大腸がん細胞株(KM12SM)を用いて脳転移モデルを作成し、高用量のTRK阻害薬(entrectinib, 30mg/kg)で治療実験を行い、中枢神経内で耐性を誘導した。合計8匹の脳転移モデルで少なくとも3匹にNTRK1融合遺伝子の耐性変異G595Rが脳腫瘍のRNA解析で確認できた。またこれらの脳腫瘍にG667C変異は認めなかった。G595R変異は高濃度の薬剤に曝露された際に出現する高度耐性変異であり、筆者が論文中に使用したentrectinibの倍量でG595R変異を誘導でき、本計画書に記載している60mg/kgでも同じような現象が起きると予想される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画書に記載している耐性変異以外のTRK-A阻害薬耐性機構の同定の解析が進んでいない。G595R変異を有する耐性株が得られたので、引き続き、耐性克服しうる薬剤をキナーゼ阻害薬ライブラリーからスクリーニングし、さらに、スクリーニングされた耐性克服薬のin vivo imaging 脳転移モデルにおける抗腫瘍効果を検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
この報告書作成を良い機会として、現状で得られているデータを集計し、指導医と綿密にディスカッションしていく。
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Causes of Carryover |
本研究以外で利用した高額な遺伝子変異解析を2回行ったため。
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