2018 Fiscal Year Research-status Report
デスモイド型線維腫症PDCによる治療薬の網羅的評価・解析
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18K15313
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Research Institution | Aichi Cancer Center Research Institute |
Principal Investigator |
濱田 俊介 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 研究員 (90747289)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | デスモイド型線維腫症 / WNT/β-catenin系シグナル / CTNNB1遺伝 / Patient-Derived Cell |
Outline of Annual Research Achievements |
Patient-Derived Cell(PDC)の作成を行った。デスモイド型線維腫症で特徴的なCTNNB1遺伝子の点変異について、まず変異型毎の機能的な相違の評価に重点を置いた。主な変異型であるT41A変異型、S45F変異型および変異型のない腫瘍よりそれぞれ腫瘍細胞を分離し細胞培養を行った。それぞれ培養状態での増殖能に大きな相違はみられなかった。遺伝子変異は分離前の腫瘍検体および分離後の培養細胞よりそれぞれDNAを抽出しサンガー法にて遺伝子解析を行い、遺伝子変異型が一致することを確認した。悪性腫瘍細胞でみられるような不死化はしておらず、継代により徐々に老化がみられることから実験では5~15継代目の細胞を使用することとした。基礎的な評価として、蛍光免疫染色にてβ-cateninの局在を評価するとS45F変異細胞は他の変異株と比較し核内移行を強く認めた。同様の所見は臨床検体においても認め、S45F変異型腫瘍は他の変異型と比較し有意にβ-cateninの核内移行が強いことを見出し報告した。(Hum Pathol. 84:155-163. 2019) また基本的な薬剤による抑制効果を確認するため、Wnt/βカテニンシグナルの阻害剤であるIWR-1、quercetinを用いて有意な増殖抑制効果があることを確認した。また臨床的に使用しているメロキシカム投与も行ったが、変異型により抑制効果が異なりS45F変異細胞は増殖抑制効果が少ないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
稀な疾患であるためPatient-Derived Cell(PDC)としての細胞分離症例の蓄積が十分に進んでいない。また腫瘍細胞が実験操作で障害を受けやすく、細胞分離や継代で損失が多く実験のための細胞確保に難渋している。
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Strategy for Future Research Activity |
公的な細胞バンクにない腫瘍でありPatient-Derived Cell(PDC)をいかに集積するかが問題であり今後の課題である。しかし本研究課題を進めるうえでの基本的なツールであり、遺伝子の異常の機能的な意義、新しい薬の薬効の分子背景など臨床検体からは得られないデータを得られるものと考えており、特に遺伝子変異型毎に一定数のPDCを確保することを目標としている。
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Causes of Carryover |
稀な疾患であるためPatient-Derived Cell(PDC)としての細胞分離症例の蓄積が十分に進んでいない。今後引き続き症例蓄積を進めていく予定である。
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Research Products
(1 results)