2019 Fiscal Year Research-status Report
SNPアレイおよびctDNAバーコードシーケンスを用いた食道早期がん診断法の確立
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18K15323
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
鶴田 祐介 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (70812767)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | liquid biospy / ctDNA / 早期診断 / 食道がん / 発がんハイリスク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初の目的は1)食道扁平上皮癌の予後改善をめざすこと、及び 2)発がんハイリスク者を対象にLiquid biopsyの技術で発症の早期診断をめざすことにある。まず平成30年6月九州大学ヒトゲノム倫理委員会を通過した。実臨床ではStage I症例は条件を満たせば内視鏡的切除の適応である。申請時の目的である『原発巣の全エキソームシーケンスの結果と比較し、ctDNA検出の精度と腫瘍内不均一性の反映程度を評価し、ターゲットシーケンスの対象遺伝子の妥当性を評価する。』は実現が難しい症例も増えたため、計画の軌道修正をした。食道癌の放射線化学療法後の再発症例に着目した。当該研究として放射線化学療法に対する感受性(抵抗性)についてctDNAで診断行うこととしている。 手術不能食道がん33例を対象に根治化学放射線治療を実施した。非感受性群(17例)、感受性群(16例)に分け、原発巣生検標本をWES解析した。全例の治療前後の血液検体集積を完了した。非感受性群と感受性群の原発巣の体細胞変異の比較から抵抗性特異的変異遺伝子を抽出した。下記の手順で「食道がん放射線化学療法抵抗性変異がんパネル」を作製しctDNAの変異検出を実施することで易再発症例の特異的検出を期待しており、現在鋭意原発巣のCRT前後の検体のゲノム解析を進めてきた。 今年度実施したことは、ctDNAの標的変異をきめる上では、CRT再発前後における普遍的変異を捉える必要があることから、CRT再発前後のマルチサンプリングを行った5例について詳細に進化の解析を進め、33例の全検体で確認をすることであった。再発腫瘍においてはNOTCH1変異などが高頻度に認められ、その変異の有無で全生存率が有意に異なった。再発巣の採取と解析が困難なケースもあり、ctDNAでの評価が重要である。またMYCコピー数が増幅しておりctDNAにおいて評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
われわれは1)食道癌を対象として、ctDNAの有用性をみる上での実装性の高い研究としてCRT後の再発について着目し、その早期診断を 非侵襲法であるリキッドバイオプシーで行うこととして開発を進めている。このため現在CRT感受性群17例、非感受性群16例を集積し、後者のうち5例はCRT再発前後のマルチサンプリングを行った。ctDNAで検出する上でもっとも大切なことは 標的遺伝子変異の設定であり、特にheterogeneityを凌駕しする普遍的かつ頻度の高い遺伝子を設定しctDNA検出するためのパネルを作成することである。原発巣と再発巣の進化解析に時間を要していたが、このほどdraftが完成し現在、投稿直前の状態である。この情報をもとに本年度パネルを作成してctDNAの検出を実際に行う。 本助成をいただくことでお示しするべき、もうひとつの解決すべき命題として、2)担癌患者ハイリスク者からの癌患者検出をctDNAで行うという課題がある。しかし、食道がんの場合のハイリスク者(飲酒喫煙とALDH2/ADH1の遺伝子多型)は大規模症例数を要することから、われわれは浸透率が高い遺伝子多型を示す発がんハイリスク対象がんとしてリンチ症候群に変更し、特に大腸がんの発がん患者検出を行う方法を開発することとした。現在、NBDCヒトデータベース(Sato K, et al., Clin Cancer Res 2019; 25: 378-389.)を利用した、リンチ症候群大腸がん患者に特徴的な遺伝子変異の探索を終えた。すなわち、MSI-Hを示す大腸がん症例の内、リンチ症候群大腸がん49 症例(LS/LL群)とMSI-Hを示す大腸がんの内、リンチ症候群以外の大腸がん96 症例(MM群)とを比較検討したところ、最終的に特異的マーカー15遺伝子の体細胞変異を特定した。
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Strategy for Future Research Activity |
1)食道がん研究においては、NOTCH1はじめctDNAにおける変異検出のためのカスタマイズ癌パネルの作成に成功した。血液検体を有しており実際の有用性について 明らかにする。 2)発がんハイリスク者からのリキッドバイオプシーについては、上述のごとく特異的マーカー15遺伝子を同定しており、リンチ症候群の大腸発がん患者と同非発がん患者、さらに通常の散発性大腸がん患者を対象に採血の上、ctDNA target Seqを実施する。
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Causes of Carryover |
検体を131例追加収集し、シーケンスを行なっているため時間を要し、当初の計画期間より延長が必要になった為、1年間研究期間を延長することになった。次年度は完了したシーケンス結果を比較・評価し、ターゲットシーケンスの対象遺伝子の妥当性を評価していく。
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[Journal Article] KIF15 Expression in Tumor-associated Monocytes Is a Prognostic Biomarker in Hepatocellular Carcinoma.2020
Author(s)
Kitagawa A, Masuda T, Takahashi J, Tobo T, Noda M, Kuroda Y, Hu Q, Kouyama Y, Kobayashi Y, Kuramitsu S, Sato K, Fujii A, Yoshikawa Y, Wakiyama H, Shimizu D, Tsuruda Y, Eguchi H, Doki Y, Mori M, Mimori K.
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Journal Title
Cancer Genomics Proteomics.
Volume: 17(2)
Pages: 141-149
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] N-Cadherin mRNA Levels in Peripheral Blood Could Be a Potential Indicator of New Metastases in Breast Cancer: A Pilot Study.2020
Author(s)
Masuda T, Ueo H, Kai Y, Noda M, Hu Q, Sato K, Fujii A, Hayashi N, Tsuruda Y, Otsu H, Kuroda Y, Eguchi H, Ohno S, Mimori K, Ueo H.
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Journal Title
Int J Mol Sci.
Volume: -
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Oncogenic splicing abnormalities induced by DEAD-Box Helicase 56 amplification in colorectal cancer.2019
Author(s)
Kouyama Y, Masuda T, Fujii A, Ogawa Y, Sato K, Tobo T, Wakiyama H, Yoshikawa Y, Noda M, Tsuruda Y, Kuroda Y, Eguchi H, Ishida F, Kudo SE, Mimori K.
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Journal Title
Cancer Sci.
Volume: 110(10)
Pages: 3132-3144
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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