2018 Fiscal Year Research-status Report
TN乳癌におけるエクソソームmiRNAを用いた治療抵抗性機序の解明
Project/Area Number |
18K15324
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
末田 愛子 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (70749720)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エクソソーム / miRNA / トリプルネガティブ乳癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
トリプルネガティブ(TN)乳癌で術前化学療法を行った症例において、病理学的完全寛解(pCR)が得られた症例、得られなかった症例(non-pCR)でエクソソーム由来miRNA発現の比較を行った。先行研究で、術前化学療法前の血清エクソソームを用いて解析を行ったところ、16のmiRNAでpCR例において有意に発現変化を認めていた。これら16miRNAの術前化学療法による変化を比較検討した。治療前後でそれぞれエクソソーム由来miRNAを抽出し、qRT-PCR法で発現比較を行ったところ、miR-1273, miR-2467, miR-4800, miR-637においてpCR症例では治療後に上昇する傾向にあった。これら遺伝子の機能は不明であるが、miR-1273, miR-3467, miR-4800などは治療前でもpCR例で有意に発現上昇していることから、化学療法感受性に関与する可能性も示唆される。 次に、実臨床で問題となるnon-pCR例の生物学的機序の解明を行うことを目的として、non-pCR例の中で再発例/無再発例にmiRNA発現の相違があるかを検討する。術前化学療法後の血清よりエクソソームを回収し、miRNAを含むRNAを抽出した(n=16)。これらを東レのアレイ解析受託へ提出し、現在解析中である。この結果により、non-pCR例で再発を来すmiRNAの同定が可能であり、既存の化学療法では不十分な症例の選別が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年8月まで産休、育休を取得していたため、その間の研究の実施ができなかった。復職後は、当初の予定通り研究を進め、アレイ解析への提出までは進んでいる状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
アレイ解析の結果、non-pCR例で再発を予測するエクソソームmiRNA群の同定が可能と思われる。同定されたmiRNAのパスウェイ解析などを行い、再発に関する遺伝子変化の同定を試みる。更に得られた結果のvalidationを他検体を用いて行い、結果の再現性を確認する。また、同定されたmiRNAについては、乳がん細胞を用いて生物学的機序の解明を行う。
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Causes of Carryover |
データ解析結果により、マイクロアレイ解析を次年度行う方針とした。そのため、マイクロアレイ解析の受託費用が一括してかかるため、次年度に繰り越しし経費をまとめる必要が生じたため。
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