2019 Fiscal Year Research-status Report
Effect of S-1 adjuvant therapy on stage II/III gastric cancer with MSI-H/dMMR tumor.
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18K15330
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
川上 尚人 近畿大学, 医学部, 講師 (10580615)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腫瘍診断学 / 腫瘍治療学 / 腫瘍生物学 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、stage II/III胃癌に対してはS-1単独療法が本邦における標準治療である。MAGIC trialの付随研究の結果は、S-1単剤による術後補助化学療法によってむしろ生存期間が短縮する症例が一定数存在する可能性を示唆している。本研究によって、MSI/dMMRとS-1単剤による術後補助化学療法の効果との関連が明らかとなれば、現在、米国のstage II 大腸癌に対して行われているのと同じ戦略、つまりMSI-Hであれば術後補助化学療法を行わないといった方針を選ぶことが可能になる。 現在までに100例のMSI解析が終了し、16例のPCR不能例があったものの10例でMSI-Hを確認している。さらに2020年4月中に110例程度解析追加見込みで、全体で2100程度、その中から20例程度のMSI-Hが見込まれる。 100例のpreliminaryなデータでは、全体の無再発生存期間については既報のACTS-GC試験とほぼ同様であり患者背景に問題がないことが確認できている。一方でMSI-H vs. MSSに予後およびS-1治療による再発抑制効果に有意差は認められなかった。 近年MSI statusと切除可能胃癌の予後との関係を示すデータが相次いで報告されているが、stage IIにおいてはMSI statusが化学療法の効果を妨げない、つまり無増悪生存期間も全生存期間も同等とするものが多い。無造悪生存期間については我々の結果も同様であったが、全生存はMSI-HがMSSより有意に良好であり、その原因についての考察のため、下記別項のような追加の検討を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね計画に沿った進捗である。検体はすでに揃っており今年度中に必要な免疫染色や遺伝子発現解析を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り100例のpreliminaryなデータでは、MSI-H vs. MSSに予後およびS-1治療による再発抑制効果に有意差は認められなかった。しかし全生存では有意に良好であった。このため解析の方法は当初予定していたものから下記のものへと変更する。 今後、症例全体でMLH-1の免疫染色を行い、PCRによるMSI-H statusとのconcordanceを検討する。さらにPD-L1、免疫関連分子の免疫染色を行い、それらとの関係性を見る。探索的検討としてMSI-Hが判明した症例と患者背景を揃えたMSS症例の検体を用い、再発例と無再発例で各種免疫染色およびnCounter IO360などの遺伝子発現パネルを用い分子免疫生物学的な違いを検討することとする。
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Causes of Carryover |
当初MSI-H解析のための検体は近畿大学病院のみで賄うこととなっていたが、S-1単独で加療された症例が予定数を大幅に下回ったため、多施設共同研究として行うこととなった。そのため検体の回収に時間を要し、2019年度中に行う予定のMSI解析が年度をまたぐ結果となってしまったため。
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