2018 Fiscal Year Research-status Report
カプセル形状が細胞取込に及ぼす影響の解明および魚雷型カプセルを用いたがん治療
Project/Area Number |
18K15334
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上田 一樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (10615040)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞取込 / 細胞内輸送 / エンドサイトーシス / 形状 / キャリア / ドラッグデリバリーシステム / ペプチド / アスペクト比 |
Outline of Annual Research Achievements |
魚雷型カプセルの開発および、それを用いた細胞取込実験を行い、カプセルのアスペクト比と取込速度の関係を調査した。 魚雷型カプセルは、両親媒性ポリペプチドSL12からなる筒状集合体の開口部に、両親媒性ポリペプチドSL16を自己集合化させ、球状集合体を形成させることで中空のロッド状集合体として得られた。両親媒性ブロックコポリペプチドSL12およびSL16は同一のポリサルコシン親水性ブロックを有し、疎水性ブロックの残基数のみ異なる(12および16残基)分子である。 SL12を水中に分散させ、90度1時間加熱することで直径80 nm長さ200 nmの筒状集合体を得た。加熱時間を3時間、5時間と長くすることで、直径80 nmはそのままで長さのみ300、500 nmと伸長した。この筒状集合体分散液にSL16を分散させることで、SL16は筒状集合体の開口部に相互作用、自己集合化し、筒の口を半球でキャップした形状の魚雷型カプセルが得られた。長さの異なる筒状集合体を用いることで長さの異なる魚雷型カプセルが得られた。SL16のみを水中に分散させると、直径80 nmの球状集合体であった。 長さの異なる筒状集合体および球状集合体を用いて細胞取込実験を行った。直径はいずれも80 nmで、長さは100、200、300、500 nmの筒状集合体を使用した。HeLa細胞に対して、1時間後の取込量を蛍光強度から評価したところ、筒状集合体はいずれも球状集合体より多く細胞に取り込まれた。特に200 nmが最大の取込量であり、最適なアスペクト比が存在することがわかった。阻害剤を用いた実験から細胞に取り込まれる機構はいずれの集合体もクラスリン介在性エンドサイトーシスであった。この取込機構は200 nm程度以下の物質を取り込むと知られているため、200 nmが細胞内輸送に最適なサイズであることと一致した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は4年の計画であるが、すでに2つの目標(①カプセル形状が細胞取込に及ぼす影響の解明、②魚雷型カプセルを用いたがん治療)のうち①の目標を達成し、論文にまとめた。進捗としては申し分無いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目は魚雷型カプセルを用いたドラッグデリバリーシステム(DDS)の研究を進める。具体的には、魚雷型カプセル内への薬剤内包能、血中安定性、体内動態、腫瘍集積性、抗腫瘍成長効果の評価などを行う。また、球状カプセルやステルスリポソームとの比較を行い、それら性質の違いを明らかにする。 研究計画に変更は無い。
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Research Products
(1 results)