2019 Fiscal Year Research-status Report
カプセル形状が細胞取込に及ぼす影響の解明および魚雷型カプセルを用いたがん治療
Project/Area Number |
18K15334
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
上田 一樹 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 研究員 (10615040)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 抗がん剤 / がん治療 / ドラッグデリバリー / 形状 / ペプチド / アスペクト比 / キャリア / 分子集合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
1年目に開発した魚雷型カプセルを用いて、抗がん剤ドキソルビシンやシスプラチンの内包能・徐放能の評価、担がんマウスを用いた動物実験による抗腫瘍成長抑制効果(がん治療)の評価を行った。 魚雷型カプセルは、両親媒性ポリペプチドSL12からなる筒状集合体の開口部に、両親媒性ポリペプチドSL16を自己集合化させ、球状集合体を形成させることで中空のロッド状集合体として得られた。この時カプセル化収率はおおよそ40-80%とばらつきがあった。この魚雷型カプセル調製時の水性溶媒に、水溶性抗がん剤を溶解させておくことで、中空カプセルとして抗がん剤を内包することに成功した。シスプラチンおよびドキソルビシンで確認した。また、生体内に存在する分解酵素プロテアーゼKを加えるとペプチドで形成されているため魚雷型カプセル自体が破壊され、内包されていた分子が放出されることも確認し、カプセルの内包能と徐放能の確認とした。 次に動物実験により直接DDSとしての評価を行った。市販の抗がん剤であるシスプラチンを内包した200, 300, 600 nmの魚雷型カプセルと100 nmの球状カプセルを担がんマウスに尾部静脈より注射にて投与したところ、抗がん剤のみ、抗がん剤内包球状カプセルの場合と比較して、魚雷型カプセルにおいて有意に強い抗腫瘍成長抑制効果がみられた。各カプセルに近赤外プローブを標識し、投与後の近赤外イメージングを行うことでカプセル材料の体内動態を評価した。その結果、魚雷型カプセルが球状カプセルと比較して速やかに腫瘍部位へ集積する性質を持つことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は4年の計画であるが、当初の2つの目標(①カプセル形状が細胞取込に及ぼす影響の解明、②魚雷型カプセルを用いたがん治療)を達成し、論文にまとめた。進捗としては申し分無いと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目の研究から、魚雷型カプセルを用いた場合いくつかの課題が見つかっている。体内動態評価の不明瞭さ、肝臓への集積の高さ、魚雷型カプセル材料の収率の低さ、である。3年目は魚雷型カプセルを用いて上記の課題の解決を目指す。具体的には①明確な体内動態評価とアスペクト比の影響、②肝臓集積抑制した魚雷型カプセルの開発、③魚雷型カプセルの調製効率の向上である。魚雷型カプセルを用いたがん治療という主要目的を達成させるための必要研究であり、研究計画に大きな変更は無い。
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Research Products
(3 results)