2018 Fiscal Year Research-status Report
大脳皮質-基底核ループにおける神経活動代替システムの確立
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18K15340
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
長谷川 拓 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 特任研究員 (90713256)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脳深部光刺激デバイス / 化学遺伝学的手法 / 光遺伝学的手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化学遺伝学的手法と光遺伝学的手法を組み合わせることによって神経活動を外部入力によって代替する神経活動代替システムの構築を行っている。本年度は抑制型DREADD (Designer Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs) 受容体と光受容イオンチャネルを共発現するAAVベクターの作製、その神経活動制御技術の条件検討、そして時空間的に光刺激を与える光学システムの構築を行った。 光受容イオンチャネルとしては、高頻度の光刺激に追従することが可能であるChronosを使用した (Klapoetke et al. 2014)。Chronosと抑制型DREADD受容体を自己切断活性がある2A配列によって共発現するAAV2コンストラクトを作製し、DJキャプシドでパッケージングを行ったAAV2/DJベクターをラットの視床下核へ導入した。Clozapine N-Oxideの腹腔内投与による神経活動の抑制、光照射による神経活動の興奮に関してin vivoで条件検討を行っている段階である。 また、脳深部へ時空間的に光刺激を与えるレーザーシステム(Thorlabs)を構築した。半導体レーザーの出力をコリメートし、空間光変調素子であるDigital Micromirror Device (DLP2000; Texas Instruments) を経由させ、マルチコア光ファイバーへと照射する。Digital Micromirror Deviceは平面上に数ミクロン程度のミラーを数十万から数百万個配列させ、ミラーの角度を独立に操作することで空間的な光の制御が可能になる光学素子である。この空間変調素子とレーザーシステムを組み合わせ、任意のパターンの光を時間的に制御して照射することが可能になる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、新規実験系の構築とその実験系による大脳基底核の運動制御に関する仮説の検証を行う。本年度では研究課題の初年度であるが、ウイルスベクターを開発し、光学デバイスの作製したことで主な実験系がほぼ完成できたと言える。現在はその実験系を動物に適用し、条件検討を行っている段階であり、問題が起きた場合にはシステムの調節を行う予定であるが、これまでの所は順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在の段階では研究遂行に大きな問題はなく実験計画通りに遂行する。2019年度は1)化学遺伝学的手法による神経活動抑制・光遺伝学的手法による神経活動興奮の条件検討を行い、2)大脳基底核の神経核を抑制することによる運動異常を定量化する。2020年度には、運動異常を改善させる光刺激条件を探索する予定である。
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