2020 Fiscal Year Annual Research Report
Extrinsic substitution for neuronal activity in the cortico-balsa ganglia-thalamic loop.
Project/Area Number |
18K15340
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
長谷川 拓 生理学研究所, システム脳科学研究領域, 特任研究員 (90713256)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 大脳基底核 / 視床下核 / 運動制御 / 化学遺伝学的手法 / DREADD |
Outline of Annual Research Achievements |
大脳基底核の障害によって、運動が寡少になるパーキンソン病、逆に過剰な運動が起きるハンチントン病やヘミバリズムが起きることが知られている。しかし、どのような神経活動の変化が運動障害を引き起こすかは明かではなかった。 本研究では、神経細胞の活動を薬剤投与によって可逆的に制御する化学遺伝的手法を大脳基底核の視床下核と呼ばれる小領域に適用した。視床下核の活動を抑制することで、反対側の前肢にヘミバリズム様の不随意運動を可逆的にかつ繰り返し誘導することに成功した。また、到達行動課題を行わせたところ、滑らかな運動がぎこちなくなり、運動が不安定になった。その際の大脳基底核の出力の単一神経活動を電気生理学的手法によって計測したところ、発火頻度はほとんど変化しないものの、神経活動パターンが不規則になることを見出した。この結果から、視床下核は大脳基底核の出力を規則的にすることで滑らかな運動遂行を実現するとの仮説を提唱するに至った。 本年度、研究成果の一部を学術雑誌に投稿し、現在は査読中である。同時に原稿をオープンアーカイブに投稿し、研究成果を公開した。また、光遺伝学的手法と組み合わせ、化学遺伝学的手法によって抑制した神経活動を任意の光刺激によって代替えし、運動を正常化することを試みた。 本研究成果によって、大脳基底核の運動制御に関わる神経メカニズムの一端が明らかになり、運動障害の治療へ発展することが期待される。
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