2019 Fiscal Year Annual Research Report
The effect of behavioral fear expression on sleep/wake architecture
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18K15345
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
征矢 晋吾 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (90791442)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オレキシン / 恐怖記憶 / 睡眠 / 過覚醒 |
Outline of Annual Research Achievements |
PTSDやうつ病患者においては高い確率で睡眠障害が併発することが知られている。過度な覚醒や恐怖による睡眠障害において、覚醒の維持に重要な役割を果たすオレキシンとその下流の神経回路の役割が明らかになれば不眠に関与する神経メカニズムの解明に寄与できる。 当該年度では、オレキシンニューロンの下流である青斑核のノルアドレナリンニューロン、縫線核のセロトニンニューロン、腹側被蓋野のドーパミンニューロン特異的にOX1Rを欠損したマウスを作成し、恐怖応答およびその後の睡眠覚醒リズムに影響が見られるのか検討することを目的としている。 まず、OX1R-floxedマウスをNAT-Cre、ePET-Cre、DAT-IRES-Creとそれぞれ交配させることでモノアミンニューロン特異的なコンディショナルノックアウトマウスの作成を行った。これらのマウスを用いて恐怖条件付けテストを行った結果、特にセロトニンニューロンおよびドーパミンニューロン特異的にOX1Rを欠損したマウスは、音および空間に対する恐怖記憶テストにおいて顕著な恐怖応答の減弱を示した。このことから、オレキシンは覚醒の維持だけでなく、OX1Rを介して下流のセロトニンニューロンやドーパミンニューロンを制御することで、恐怖応答に関与することが示唆される。オレキシンはOX1Rを介してノルアドレナリンニューロンを制御し、恐怖応答を調節すること(Soya et al., 2017)が明らかになっており、覚醒システムと恐怖応答の制御機構の密接な関係が推察される。さらに、OX1R欠損マウスを用いた実験から、恐怖応答の減弱が見られるとともにその後の恐怖による過覚醒時間の減少が観察された。このことから、オレキシンシステムは恐怖応答の強弱を調節し、過度な恐怖応答の表出が睡眠障害を引き起こす可能性が示唆された。
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