2018 Fiscal Year Research-status Report
Association between REM sleep behavior disorder and dementia-related protein accumulation
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18K15347
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江川 斉宏 京都大学, 医学研究科, 助教 (20534340)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | レビー小体型認知症 / REM睡眠行動異常 / αシヌクレイン |
Outline of Annual Research Achievements |
レビー小体型認知症(DLB)は、国内の高齢者認知症の中の20%を占め、アルツハイマー病に次ぐ第2の認知症である。病理学的には、αシヌクレインというタンパク質が神経細胞内にレビー小体とよばれる凝集体を形成している。αシヌクレインは、シナプスを介してニューロンで伝播するというBraak仮説が提唱されており、その部位特異的なタンパク凝集の過程において、パーキンソン病様の運動障害、認知機能低下、自律神経障害などさまざまな症状をきたすと考えられている。近年、DLBの主な症状である認知機能低下や運動障害が発症する数年前から、非運動症状である嗅覚異常やREM睡眠行動異常(RBD)が先行して起こることがわかってきた。これは、広範に伝播する前のαシヌクレインの初期の病態を示している可能性があるが、これまでの研究では、睡眠異常とパーキンソン病のαシヌクレインの生化学的な合成、病理学的凝集、蓄積メカニズムの関係は明らかではない。そこで、研究代表者は、まずαシヌクレインが蓄積するDLB病理マウスを用いて、病理変化と睡眠異常の関係性を明らかにすることを目的とした。閉じられた遮音空間の中に、12時間明暗サイクルの環境を整備した上で、マウス睡眠脳波を個別に測定し、かつリアルタイムに睡眠ステージを判定できるシステムを構築した。マウスの頭蓋表面脳波電極と筋電用電極を頸部筋肉に植え込み固定し、エポックごとの睡眠ステージング解析できる。また、赤外線センサーによるロコモーターと動画記録により概日リズムの解析を実施した。Braak仮説に従って、マウスの脳にαシヌクレイン凝集(Fibril)を注入すると、αシヌクレイン陽性の凝集体が中脳黒質、海馬、大脳皮質含む脳内全体に伝播する。このDLB病理モデルマウスの睡眠脳波と概日リズムについて、注入後の変化について検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は、レビー小体型認知症の病態の本質であるαシヌクレインの蓄積と睡眠異常との関係性を明らかにするために、マウス睡眠構造の解析するシステムを構築した。その上で、モデルマウスを用いて、αシヌクレイン凝集病理と睡眠異常の関連を検討しており、おおむね順調に進展していると考えられる。研究目的にむけて、睡眠異常があたえる病態への影響について検討し、その成果が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
αシヌクレイン凝集病理と睡眠表現型の関係性を明らかにした上で、睡眠異常を改善、増悪させる手段を用いることによって、睡眠異常があたえるαシヌクレインの凝集について、生化学、病理的アプローチを行う。
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