2019 Fiscal Year Research-status Report
自閉症の色知覚と顔・情動処理異常: 脳磁図による多階層レベル研究
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18K15348
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 絵美 九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (60737310)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 視覚認知 / 自閉スペクトラム症 / 脳磁図 / 色知覚 / 時間周波数解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症スペクトラム症 (autism spectrum disorder: ASD) は行動や神経生理学的な研究により、細部の視覚情報処理に優れるが、顔などの全体的処理や運動知覚が障害されていることが分かっており、この視覚認知障害が ASD の社会的コミュニケーション障害の基盤である可能性が指摘されている(Dakin & Frith, Neuron, 2005)。さらに、ASD児は黄色を忌避するという独特の色に対する選好性がある(Grandgeorge and Masataka., Front Psychol., 2016)ことや、成人ASDを対象とした視覚誘発電位の研究では色知覚障害の存在が示されている。本研究の目的は、ASDの色知覚障害を明らかにし定量化することである。本年度は、前年度に引続き健常成人を対象として単純な色刺激を用いて低次視覚レベルの色処理が後続する視覚処理に与える影響を検討した。 視覚処理における3つの経路(大細胞系、小細胞系、顆粒細胞系)を調べるために、各経路を選択的に刺激する色の組み合わせ(白/黒:大細胞系、赤/緑:小細胞系、青/黄:顆粒細胞系)と空間周波数(20 cpd、5.3 cpd)が異なるサイン波格子縞刺激を見ている時の脳活動を脳磁図で記録した。健常成人、計19名の脳磁図データを取得し、解析を行った。センサーでの誘発反応、センサーデータから推定して得られた1次視覚野及び周辺視覚領域の時系列データを時間周波数解析し、視覚野毎に刺激の色や空間周波数に対する特徴の同定を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在、健常成人19名の脳磁図のデータ記録、解析が概ね終了した。健常成人における、視覚刺激に対する反応特性の同定や視覚野間の関連性を検討することができ、本年度の研究計画はほぼ達成できたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの検討項目であった健常成人に対する刺激と反応特性の関連性の検討が出来たので、来年度はASD群を対象としてデータの取得を行い、健常成人と比較検討する。ASD群は、刺激の試行間の同期性が低いことが視覚認知障害の原因の一つだと言われており、色知覚においても試行間の同期性が低下しているのか検討する。これによりASDの色に対する独自の選好性の要因の一端が明らかになることが期待される。
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Causes of Carryover |
当初は本年度に自閉スペクトラム症群のデータを取得し、来年度、健常成人群及び自閉スペクトラム症群の詳細なデータ解析を実施する予定であった。しかし、計画を変更し健常成人群の詳細なデータ解析を優先して行い、視覚刺激と反応特性の同定を行った。このため、脳磁図計測(直接経費:その他)に係る費用と謝金を来年度に持ち越すこととなった。
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Research Products
(1 results)