2021 Fiscal Year Annual Research Report
Chemogenetic dissection of the primate prefronto-subcortical pathways for adaptive behavior
Project/Area Number |
18K15353
|
Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology |
Principal Investigator |
小山 佳 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子医科学研究所 脳機能イメージング研究部, 研究員 (50615250)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 化学遺伝学 / 霊長類 / 前頭連合野 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、これまでに前頭眼窩野の関与が示唆されている柔軟な行動選択において、異なる皮質下領域との相互作用に基づいて実現されているという作業仮説を立て、それぞれ検証することを目的として実験を行った。 具体的には、前頭眼窩野に抑制性のDREADDであるhM4Diが発現した個体において、PET撮像することにより投射先である線条体、および視床におけるDREADDの発現を確認した。これは前頭眼窩野の細胞の軸索末端に発現したDREADDを反映しているものを思われる。その後、DREADD選択的アゴニストであるDCZを直接注入することにより、注入を行った領域へと伸びる神経経路のみの機能調節を行いながら、サルに柔軟な行動選択を要求する複数の行動課題を遂行させた。その結果、前頭眼窩野から線条体へと至る経路の抑制を行った際には、報酬の価値を逐次(モデルフリーに)アップデートする機能に障害が生じた。また、前頭眼窩野から視床MD核へと至る経路の抑制を行った際には、価値をルールに基づいて(モデルベースに)切り替える機能に障害が生じた。これらの結果は、前頭眼窩野からそれぞれの皮質下領域へと至る経路が、柔軟な行動選択をするうえでそれぞれ異なる役割を果たしていることを示唆する結果である。また、本研究を遂行するうえで用いた、DREADDを活用した経路選択的な機能阻害法を応用することにより、前頭前野の背外側部から、同じく線条体及び視床MD核へと延びる経路が異なる役割を果たしていることを示す結果が得られ、論文として発表した(Oyama et al., 2021)。また、DREADDの活用をさらに広げるために、アゴニストの連続投与による長期機能操作を成功させ、論文として発表した(Oyama et al., 2022)。
|