2018 Fiscal Year Research-status Report
ALS発症に関与する新たなシナプス蛋白質の病態機序解明研究
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18K15362
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
横井 聡 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (30815460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 筋萎縮性側索硬化症 / SynGAP / CRISPR/Cas9 / FUS |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室は既報でFUS機能喪失マウスモデルを用い、FUSのSynGAP mRNA安定化機構の破綻がシナプス形態異常を引きおこし、認知行動障害を引き起こすことを明らかなにした。この機構が筋萎縮性側索硬化症の病態生理に関係しているかどうかを調べるべく、JaCALSデータベースからSynGAP 3'UTRの新規変異を発見し、ヒトモデルでの確認を行うために、iPS細胞から分化誘導した運動神経でその変異の機能解析を行った。
今年度は共同研究者と共にiPS細胞株(201B7)から運動神経に分化誘導する技術を習得し、安定して培養できる環境を確立した。また表現型解析を行うためにシナプス形態を観察できる条件検討を行い、後述する新規変異モデルの解析が可能な状態になった。
データベースから見出した点変異を有するモデルiPS細胞を作成するため、CRISPR/Cas9を用いた遺伝子編集を行った。通常はCas9が変異を有するテンプレートを切断しないようにするために目的の変異以外にアミノ酸配列が変化しないような変異をテンプレートに導入したり、導入後にCre-loxPなどのrecombinationして配列を作成する場合には使用するloxP配列などが残存することがあるが、今回は1点変異の機能を解析するために、foot-print freeに点変異を導入する技術を用いた。これによりiPS細胞株(201B7)に新規変異を導入し、運動神経に分化誘導が可能であることを確認し、表現型解析が可能なモデルの作成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
foot-print freeの点変異を導入は技術的に難易度が高く、条件検討に時間を要したが、表現型解析を遂行できる変異導入iPS細胞が確立できたため、今後予定していた表現型解析へと研究を進展できる状態であるため。
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Strategy for Future Research Activity |
新規変異モデルiPS細胞を確立できたため、今後はこれらを運動神経に分化させ、シナプス形態を主とした表現型解析を行う。シナプス障害が再現されれば、それらを是正する治療薬ターゲットを、表現型に伴うメカニズムを明らかにしたうえで探索する。
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Causes of Carryover |
(理由) 購入予定していた試薬を無償譲渡で賄うことができたため、未使用額が発生した。 (使用計画) 未使用額については令和元年度に行う表現型解析など解析費に使用する予定である。
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