2018 Fiscal Year Research-status Report
糖鎖によるオートファジー中断機構を狙った損傷神経新規治療法の基盤研究
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18K15363
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾崎 智也 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (40710588)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経損傷 / コンドロイチン硫酸プロテオグリカン / dystrophic endball / オートファジー / コータクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、損傷した中枢神経系に対する新たな治療戦略を展開するための基盤となる。中枢神経系の損傷部位には、アストロサイトにより、かさぶたのような組織(グリア性瘢痕)が形成される。そこには糖鎖修飾されたプロテオグリカンが異常産生・蓄積し、神経軸索の再伸長を阻害する。その際、軸索先端にはdystrophic endballと呼ばれる異常形態が見られる。当研究室は、dystrophic endballを損傷後の神経軸索が陥る病態であると考え、これまでに、その形成にオートファジーの中断が関与することを見出した。本研究では、その形成を担う細胞内メカニズムをより詳細に明らかにし、損傷神経の病態であるdystrophic endball形成を阻害することで、神経軸索に再び伸長を開始させる治療戦略の可能性について検討している。 現在までに、dystrophic endball形成を担うPTPRσ基質としてのコータクチンについての評価を行ってきた。具体的には、dystrophic endballを培養し、コータクチンのリン酸化を健常な軸索先端であるgrowth coneとdystrophic endballとを比較した。その結果、dystrophic endballでは、リン酸化コータクチンが有意に減少することが認められた。さらに、コータクチン遺伝子をノックダウンすると、dystrophic endballの表現型である、オートファゴソームの蓄積および軸索伸長の抑制が引き起こされることも観察された。本研究課題の目的である、CS鎖-PTPRσとオートファジー中断を結ぶ細胞内シグナルの一端を明らかにできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに、dystrophic endball形成を担うPTPRσ基質としてのコータクチンについての評価を行ってきた。具体的には、dystrophic endballを培養し、コータクチンのリン酸化を健常な軸索先端であるgrowth coneとdystrophic endballとを比較した。その結果、dystrophic endballでは、リン酸化コータクチンが有意に減少することが認められた。さらに、コータクチン遺伝子をノックダウンすると、dystrophic endballの表現型である、オートファゴソームの蓄積および軸索伸長の抑制が引き起こされることも観察された。本研究課題の目的である、CS鎖-PTPRσとオートファジー中断を結ぶ細胞内シグナルを明らかにできた。 In vitro培養系を用いた治療薬候補薬剤のスクリーニングについても、順調に進んでおり、候補薬剤について、動物実験する段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
申請書にも書いたように、今後は、CS鎖-PTPRσとオートファジー中断を結ぶ細胞内シグナル経路上の分子が、損傷神経の治療標的になり得るか評価していく。つまり、コータクチンを制御するすることで、治療ストラテジーになり得るか検証していく。コータクチンの機能は、その状態で決まることが知られている。アセチルかおよびリン酸化の状態によりコータクチンの活性は変化する。まず、in vitro系において、コータクチンの変異体を作成し、検証していく。最終的には、動物実験で治療効果をテストする。 In vitro培養系を用いた治療薬候補薬剤のスクリーニングについては、候補薬剤が挙がってきており、動物実験でその効果を検討していく。
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Research Products
(3 results)