2018 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病リスク遺伝子SV2BによるシナプスAβの産生調節機構の解明
Project/Area Number |
18K15365
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮本 将和 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (80816736)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / βセクレターゼ / アミロイドβ / SV2B / SV2A / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は新規のβセクレターゼ(BACE1)調節タンパク質としてsynaptic vesicle protein 2B(SV2B)を同定し、SV2BがBACE1によるAPPの切断を抑制的に制御していることを示してきた。本研究ではそのより詳細なメカニズムを解明することを目的としている。SV2Bノックアウトマウス及び野生型マウスの脳のライセートを使用して、密度勾配法とウェスタンブロット法を用いてBACE1の局在の変化を検証したところ、野生型に対して、SV2Bノックアウトマウスにおいて特定の分画間でBACE1が有意に移動しており、局在の変化が示唆された。一方、APPについて同様の変化は認められなかった。またSV2Bノックアウトマウスと野生型マウスにおいてはBACE1の発現量及び、BACE1活性に有意差はなかった。以上のことからSV2BはBACE1の局在を制御することで、APPのBACE1による切断を制御していると考えられた。次にSV2A、SV2Bのアイソフォーム間でBACE1に与える影響が違うかを細胞実験系で検証した。HEK293細胞にBACE1とSV2A、SV2Bのいずれかを過剰発現させた。免疫沈降実験ではSV2BはSV2Aに比べBACE1に対して親和性を有し、細胞上清中のAβ、sAPPβはコントロールに比してSV2B強制発現において有意に減少が認められ、SV2A強制発現においてはコントロールに対して減少、SV2B強制発現に対しては増加の傾向が認められたが有意でなかった。以上より、SV2BはSV2AよりもBACE1を強力に制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
SV2BがBACE1の局在に影響を与えることで、BACE1によるAPPの切断が制御されていることを示すデータを集積した。SV2Aを標的とする薬剤は抗てんかん剤として既に実臨床で使用されており、アルツハイマー型認知症(AD)に対しても治療効果が期待され研究段階にある。ADの治療を想定したときに、SV2Aに対するSV2Bの優位性が示されれば本研究にとって有益なデータであり、細胞実験系のみではあるが、SV2Bの優位性を示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
SV2BとBACE1結合には他のカルシウム感受性パートナー分子が存在することが想定される。CaCl2を添加したSV2Bノックアウトマウスと野生型マウス脳由来シナプトニューロソームライセートを用いて、免疫沈降法、質量分析によりこの新規パートナー分子の探索を行う。同定された新規の分子につき、BACE1、SV2Bそれぞれに対していかなる作用を有するかを確認していく。
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Research Products
(2 results)