2018 Fiscal Year Research-status Report
インテグリンα9β1を介したα-シヌクレインの細胞間伝播と病態形成の機序解明
Project/Area Number |
18K15368
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
伊藤 益美 東京医科歯科大学, 統合研究機構, 非常勤講師 (10814345)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | パーキンソン病 / α-シヌクレイン / 細胞間伝播 / インテグリン / 神経変性疾患 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳内に豊富に存在するα-シヌクレインはシナプス小胞の形成や維持、神経伝達物質の放出制御などに関わっていることが知られるタンパク質で、特にパーキンソン病における細胞質封入体(レビー小体)の主要構成要素であることで知られる。α-シヌクレインは興味深いことに細胞から細胞に移行するが、そのメカニズムは未だ不明な部分が多い。 我々はこれまでにα-シヌクレインがインテグリンα9β1のリガンドであること、さらにこの結合はミクログリアのα-シヌクレイン取り込みに働くことを、同阻害抗体を用いて確認している。この発見は、脳におけるα-シヌクレインの細胞間伝播にインテグリンα9β1が関与している可能性を強く示唆している。そこで本研究では、ミクログリアのα-シヌクレイン取り込みの詳細を解析するとともに、オリゴマー化やS129リン酸化などの修飾を受けたα-シヌクレインのインテグリンα9β1との結合性の変化の検討、さらにはα-シヌクレインの蓄積を特徴とするパーキンソン病に対してα9β1が治療標的となり得るかを、遺伝子改変マウスを用いて検討する。 本年では、低pH応答性蛍光プローブを用いることで、初代培養ミクログリアにおけるα-シヌクレイン取り込みはごく短時間(数分程度)で急速に進行するエンドサイトーシスであることを示した。また、インテグリンα9遺伝子改変マウスにおけるパーキンソン病病態の解析をするにあたり、ノックアウトマウスの作製を開始している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度の途中で研究者の異動があり、異動の準備や異動後の研究環境のセットアップに時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
セットアップが終了し次第、時間のかかるモデルマウスの作製を先行させる。具体的には、α-シヌクレインを強発現させたトランスジェニックマウスに神経細胞もしくはミクログリア特異的にインテグリンα9β1を失わせたマウス(CaMKⅡa-Cre; あるいはIba1-Cre; ITGA9flox/flox)をかけ合わせる。モデルマウスを作製する間に、in vitroの実験を行う。
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