2019 Fiscal Year Annual Research Report
GM1ガングリオシドを標的としたアルツハイマー病の新規治療薬開発
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18K15369
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
梶原 隆太郎 熊本大学, 大学院生命科学研究部(保), 助教 (00738221)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者が発見したGM1抑制化合物のAD新規治療薬としての有効性を、ヒト患者iPS細胞由来ニューロン(in vitro)、およびADモデルマウス(in vivo)を用いて解析し、また作用メカニズムについても探ることを目的とする。本疾患は特に脳などの神経系にAβが蓄積するが、患者の病変部に外部からアクセスし病態を解析することが非常に困難である。また、マウスなどの既存の疾患モデルやモデル細胞株では、種の違い、原因遺伝子の過剰発現・欠失による人工的な表現型(アーティファクト)などの理由により、正確に病態を反映していないことがある。申請者は、家族性AD患者からiPS細胞を樹立し神経細胞へと分化させることによって、in vitroでヒト神経細胞を解析でき、種の違い・アーティファクト等の問題を起こしにくい実験系を確立した。 本年度は、ADの原因タンパク質であるAPPと、GM1ガングリオシドの分解酵素であるbeta-galactosidaseの関係に焦点を当てて研究を行った。GM1ガングリオシドがADの増悪因子であることは前年度の研究により示唆されていたが、その分解酵素であるbeta-galactosidaseとADの原因タンパク質であるAPPが互いに物理的に結合することを免疫沈降法にて証明した。また、細胞にAPPを過剰発現させると、beta-galactosidase活性が阻害されることも見出した。 これらの研究結果により、ADの病態では、APPがbeta-galactosidaseを阻害し、そのことによりGM1ガングリオシドが蓄積し、その蓄積したGM1ガングリオシドがさらにADを増悪させるという負のスパイラルが起きていることを示唆する重要な知見を得た。
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Research Products
(8 results)