2018 Fiscal Year Research-status Report
The role of tryptophan-metabolizing enzymes in demyelination diseases
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18K15377
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
國澤 和生 藤田医科大学, 保健学研究科, 助教 (60780773)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多発性硬化症 / IDO2 / 免疫異常 / 髄鞘 / 脱髄 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は①多発性硬化症モデルマウスとして確立している髄鞘の主要構成蛋白質であるプロテオリピド蛋白(PLP)を過剰発現させたPLPトランスジェニックマウス(PLPtgマウス)の血清及び小脳でのトリプトファン代謝産物の解析、及び②PLPtgマウスと免疫・炎症調節因子Indoleamine 2,3-dioxygenase (IDO) 2欠損マウスを掛け合わせたダブルトランスジェニックマウス(PLPtg/IDO2 KOマウス)の作製及び行動解析を行なった。 各月齢の血清及び小脳でのトリプトファン代謝産物を網羅的に測定した結果、血清及び小脳共に代謝産物の中でWTマウスと比較して著しい変化が認められる代謝産物は確認できなかった。末梢においてはIDO2がトリプトファン代謝に関与する割合は低いことが知られており、本研究において中枢神経系においてもその傾向が認められることが明らかとなった。一方で、PLPtg/IDO2 KOマウスの運動機能を各行動試験により測定した結果、PLPtg/IDO2 WTマウスと比較してPLPtg/IDO2 KOマウスでは運動機能の有意な低下が認められた。さらに、各群において8ヶ月齢までの生存率を評価した結果、PLPtg/IDO2 WTマウスに比べPLPtg/IDO2 KOマウスでは生存率の低下が認められた。 以上の結果から、IDO2がトリプトファン代謝ではなく、別の機構に働く免疫制御因子として多発性硬化症の病態形成に対して保護的に作用している可能性が示唆された。今後はIDO2の分子機構解明のために生化学的実験を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、生後2ヶ月から8ヶ月齢でのPLPtgマウス病変部位におけるトリプトファン代謝産物の動態変化をHPLCにより経時的に解析することが出来た。さらに、PLPtgマウスとIDO2欠損マウスを掛合せたダブルトランスジェニックマウスにおいて運動障害が惹起され、生存率が低下することを明らかにしたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、生化学的実験によりIDO欠損が髄鞘形成能及び神経障害性因子の産生にどのような影響を与えているか解析する計画である。さらに、IDO2がどのような分子機構で免疫制御因子として機能しているか明らかにするため、初代培養細胞に対してIDOの過剰発現あるいはノックダウンを行う計画である。IDOの過剰発現/ノックダウンにより免疫応答に違いが生じれば、IDO活性の変化が多発性硬化症での免疫異常に関与する可能性が予測出来る。
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Causes of Carryover |
2018年12月に依頼し2019年2月に納品予定だった受託解析(合計額:569,865円)が、依頼した業者の都合により中止せざる得ない状況となったため、次年度使用額が生じた。 現在、再度別の業者に受託依頼しており速やかに執行する予定である。
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Research Products
(6 results)