2018 Fiscal Year Research-status Report
ECEL1/DINE遺伝子変異による先天性関節拘縮症発症メカニズムの解明
Project/Area Number |
18K15379
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
永田 健一 大阪大学, 医学系研究科, 寄附講座講師 (50587798)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | ECEL1/DINE / 先天性関節拘縮症 / 運動神経 / 軸索分岐 / ゲノム編集技術 / ノックインマウス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ECEL1/DINE遺伝子の変異がどのようにして先天性の関節拘縮症につながるのか、蓋然性の高いマウスモデルを使って解明することである。遠位型関節拘縮症で同定されたECEL1/DINEの病的変異をノックインしたモデルマウスを解析することで、変異の病的意義を個体レベルで追求した。先行研究(Nagata et al., 2016)と同様に、変異ノックインマウスと運動ニューロンがGFPラベルしたレポーター系統マウスを交配させ、胎生期マウスの運動神経の発達異常を全身性に評価した。病的変異間の差異を明らかにするためC760R、G607Sの2つの系統で同じ解析を行った。共焦点顕微鏡を使って3Dイメージを取得したところ、下肢の複数の骨格筋において運動神経の枝分かれの著しい減少が認められた。外転神経においては、軸索の伸展が停止している個体、また経路外に伸びている個体が認められた。ただし、外転神経の表現型の浸透率は100%ではなく、ノックイン系統においても2割または4割程度の個体で正常に眼球周囲に到達していた。明らかな系統間差異はなく、両系統とも同様の表現型を呈した。ただし、その後の生化学的解析により、C760Rでは、ECEL1/DINEタンパクの局在異常が検出された一方、G607Sではスプライシング異常により、mRNA発現に顕著に減少していた。また、ECEL1/DINE変異マウスの生直後の致死性克服を目指し、floxマウスの作製に取り組んだ。ゲノム編集技術により、2箇所にloxP配列を挿入した。野生型マウスと交配したところ、loxPの挿入が次世代に伝わっていた。また、in vitroのCreリコンビナーゼと反応させ、loxPの組み換えが生じることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ノックインマウスの運動神経の解析は計画通りに順調に進んでおり、必要なデータを取り終えた状態にある。また、ゲノム編集技術を利用したfloxマウス作製は初めての試みであったが、比較的短時間で系統の樹立にまで至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
ECEL1/DINEは酵素であることから、単独で機能しているとは考えにくい。変異マウスがなぜ発生学的異常を生じるのか、関連分子にまで研究対象を広げることで全貌を明らかにしていく。また、昨年度の所属機関の変更により、floxマウスに関しては当初予定していた計画遂行が困難になった。有用性が高い動物モデルであるため、共同研究ベースで維持できることは維持し、成果につなげていく。
|