2019 Fiscal Year Research-status Report
サルコペニアモデルマウスにおける、漢方薬補剤の筋萎縮抑制効果のメカニズム解明
Project/Area Number |
18K15383
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢可部 満隆 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (10747265)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 後肢懸垂モデルマウス / 補中益気湯 / 筋萎縮関連因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
廃用性筋萎縮のモデルとして後肢懸垂モデルマウスを用い、補中益気湯 (TJ-41) の効果を検討した。マウスを①対照群、②後肢懸垂群、③低用量群 (後肢懸垂+TJ -41 0.3g/kg体重/日を強制経口投与) ④高用量群 (後肢懸垂+TJ-41 1.0g/kg体重/日投与) の4群に分けた。後肢懸垂24時間後に腓腹筋における筋萎縮関連因子 (MuRF1, atrogin-1) の発現を検討し、後肢懸垂の14日後に筋重量を測定した。 後肢懸垂モデルマウスの骨格筋では24時間で筋萎縮関連因子の発現がピークに達し、筋重量は経時的に減少した。高用量群では、ヒラメ筋と腓腹筋のいずれにおいても、atrogin-1の発現が有意に抑制された。MuRF1の発現については有意でないものの、抑制傾向を示した。高用量群では、腓腹筋において筋重量低下が抑制された。マウスの体重変化は4群間で有意差を認めなかった。 In vitroでマウス筋芽細胞であるC2C12を分化させ、血清除去下で培養すると筋萎縮関連因子が上昇するが、これは廃用性萎縮に類似した変化と考えられる。TJ-41のDMSO抽出物を添加したところ、濃度依存性かつ有意に、atrogin-1の発現を低下させた。 作用メカニズムを検討するため、Akt, p70などの蛋白合成系をWestern blottingにより検討したが、in vitro, in vivoいずれにおいても活性化を認めなかった。 以上より、TJ-41にはatrogin-1抑制を介した廃用性筋萎縮の予防効果がある可能性が示唆された。研究の成果は日本老年医学会学術集会で口頭発表を行ったほか、英語論文を投稿中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
既に英語論文を投稿済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
英語論文の出版を目指すと同時に、TJ-41の作用メカニズム解明に向けたさらなる研究を進めていく。
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