2020 Fiscal Year Annual Research Report
A national registry study to estimate the effect of pharmacotherapy on death rattle in cancer patients
Project/Area Number |
18K15396
|
Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
中島 信久 琉球大学, 病院, 特命准教授 (70749770)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 死前喘鳴 / 緩和ケア / 終末期ケア / がん患者 / 抗コリン薬 |
Outline of Annual Research Achievements |
がん患者の死亡直前期には、様々な難治性の苦痛が生じるが、これに関する実証研究は限られる。そこで、この時期の諸問題に関するエビデンスを創出するために多施設共同による大規模なレジストリ研究を行うこととし、「がん患者の死前喘鳴に対する薬物療法の効果を推定するための全国レジストリ研究」を企画した。 本研究の申請時以降に刊行された緩和ケアに関する複数のガイドラインの推奨内容を参考に調査項目を見直した。その際に得られた知見をもとに、がん患者の最終末期(予後短い週単位~日単位)における諸症状の推移ならびに家族への情報提供に関して論文化した(IntechOpen textbook (UK) DOI:10.5772/intechopen.84730)。 【研究デザイン】介入を伴わない観察研究【方法】研究参加施設である20の緩和ケア病棟の入院患者2000例全員を連続的に対象とした。[治療内容]各施設で実施されている通常臨床の範囲内の治療を薬物治療プロトコールとして標準化して行った。[評価項目]死前喘鳴の評価尺度である「Backの尺度」(Morita T. 2000)を通常臨床の範囲で測定した。【結果】死前喘鳴を呈した196名を解析対象とした。1) 全症例での検討では、抗コリン薬(ハイスコ、ブスコパン)使用の有無と喘鳴の強さの間に有意な差を認めなかった。2) T0(投与開始前)でBackの尺度が2以上の患者を対象とすると、12時間後ならびに20時間後に抗コリン薬の使用により喘鳴の強さは有意に軽減した。抗コリン薬の種類、投与方法(単回投与or持続投与)による差を認めなかった。【考察】死前喘鳴に対する抗コリン薬投与に関しては、喘鳴の強さをもとに判断することで有意な改善効果を得ることが可能となる。今後、介入研究をデザインし、投与薬剤、投与方法による死前喘鳴への治療効果の差異を明らかにすることが求められる。
|