2019 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病モデルにおける骨髄間葉系幹細胞の作用機序/病態解明
Project/Area Number |
18K15397
|
Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
松村 晃寛 札幌医科大学, 医学部, 講師 (20464498)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | アルツハイマー病 / 骨髄間葉系幹細胞 / ミクログリア / アミロイドβ / 酸化ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は骨髄間葉系幹細胞(BMSC)治療がアルツハイマー病(AD)に対する治療薬として有用な可能性に着目し、BMSC培養系を用いたin vitro AD環境モデルにおけるBMSCの応答、およびBMSCとミクログリア共培養系の確立を試みてin vitro AD環境モデルにおけるBMSCのミクログリアに対する作用、炎症や酸化ストレスへの作用の解析を行うことによりBMSC治療理論の解明とさらにはADの病態解明につなげることを目的に開始している。 ここまでの研究経過としては、(1)ラット由来骨髄間葉系幹細胞(rBMSC)の培養を開始し、検鏡観察目的に24 well plateに丸型ガラスディスクを入れての培養も試みた。24 well plateへの1 wellあたりの播種数は当初、1x10^5/wellで開始し、その後、0.5~0.1x10^5/wellなどの濃度で培養を試みた。概ね0.5x10^5/well程度の濃度での播種で良好な培養結果が得られることを確認した。次に、培養した細胞が本当にrBMSCと判断しうるものか、プロファイリング目的にBMSCに発現するとされる細胞表面マーカーCD73、CD90、CD105、および陰性マーカーとされるCD45、CD11b、およびミクログリアのマーカーであるIba-1について免疫染色で確認した。結果は、CD73、CD90、CD105において細胞の染色性が確認された一方、CD45、CD11b、Iba-1については染色を認めなかったことから、本培養において得られた細胞はrBMSCと判断されるものと考えた。次に、本培養系にヒトリコンビナントアミロイドβ(Aβ)を添加してrBMSCの応答を検証する実験を行った。添加するAβは前処置によりオリゴマー型Aβ(o Aβ)と線維型Aβ(fAβ)の2種類を用意し、添加24時間後のrBMSCの状況についてCD73およびCD11bによる細胞免疫染色にて確認した。結果はoAβ、fAβともrBMSCに取り込まれている様子が確認された一方、細胞表面マーカーに変化はなくcD11bは陰性のままであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前年度から研究を継続して上記の如く培養細胞のプロファイリング目的の細胞免疫染色法は概ね確立し、培養細胞がBMSCであることは確認できたが、ここまでの実験で時間を費やしてしまった。その後、ヒトリコンビナントAβを添加してrBMSCの応答を検証する実験まで遂行したが、再現実験にまで至らず、以後予定していた生化学的手法による評価や、BMSCとミクログリア共培養系の確立以降の分の研究を進めることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
rBMSC培養系にヒトリコンビナントAβを添加するin vitro ADモデルに関して生化学的評価も含めて確立した上で、rBMSCとミクログリアの共培養系の確立、およびそれを用いたin vitro ADモデルの解析実験を進めていきたいと考える。
|
Causes of Carryover |
進捗状況が遅れ、まだミクログリア初代培養系の培養に至っていない段階のため、細胞採取のもとになる動物の購入費をあまり要さず、各種実験試薬の購入費もまださほど要していない。このため当初予定より研究費の支出が少なく次年度使用額が生じた。 2020年度の使用計画として、細胞採取用ラットやマウスの購入費用ならびに動物飼育の管理・維持費用、各種免疫染色や生化学的評価に用いる各種試薬、その他実験用の消耗品などの購入費用として使用を計画している。他には、研究成果の発表や関連学会に参加して最新の知見を深めるための旅費への一部使用も計画している。
|