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2020 Fiscal Year Research-status Report

アジア高地在住高齢者におけるうつ病発症に抑止的に働く因子の医療人類学的検討

Research Project

Project/Area Number 18K15400
Research InstitutionTokyo Women's Medical University

Principal Investigator

石川 元直  東京女子医科大学, 医学部, 講師 (20529929)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2022-03-31
Keywordsうつ病 / 医療人類学 / 高地環境 / ソーシャルキャピタル / フィールド医学
Outline of Annual Research Achievements

申請者らは2008年よりヒマラヤやアンデスの高地環境に対する人間の医学生理的適応について調査してきた。その中でもインド・ラダック地方ドムカル村(標高3000~3800m)では縦断研究を行っている。近年、標高と自殺率には強い正の相関があるとの報告が相次いでいるが、ラダックの高地住民には、うつ病が少なく、主観的QOLが高いことを明らかにした。敬虔なチベット仏教徒であるという精神的支えとあいまって、家族やコミュニティーにおける社会的つながりの高さが保たれているために、自立度が低下したり、災害で家屋を失ったりした高齢者に対しても、QOLが高く保たれる社会のしくみが機能していることが、結果の背
景にあると考えられた。本研究の住民健診では身長・体重測定、血圧測定、血液検査による糖尿病や脂質異常症のチェックを行い、宗教に対する信仰心やソーシャルサポート、性格特性、ソーシャルキャピタルに対するアンケートも実施した。Patient Health Questionnaire-9(PHQ-9)で6点以上をうつ状態ありと定義し、うつ状態なしの群と主観的健康観やソーシャルキャピタルの指標について比較検討を行ったところ、うつ病が少ないことには良好なソーシャルキャピタルが影響していることがわかった。また、全員にSemi-structured Explanatory Model Interview(SEMI)を実施し、仮想的なうつ病症例を提示して、うつ病に対する説明モデルを調査し、既報のチベット、台湾、日本での結果と比較し、異なる文化圏におけるうつ病の説明モデルの違いを明らかにした。ビッグファイブ理論
に基づく簡易性格検査であるTen-Item Personality Inventory(TIPI)によると、外向性が高いほど、神経症傾向が高いほどうつスコアが低い傾向がみられた。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

共同研究をしている中国・青海大学と学術交流会を実施する予定であったが、新型コロナウイルスの影響で延期となっており、また、ラダックでの調査も延期になったため。

Strategy for Future Research Activity

障害に対する解釈は文化間で異なり、治療関係や治療満足度に影響を与え、介入によって変えうることも示されており、障害へのアプローチを考える際に重要である。ラダックでは、地域在住高齢者のうつ病に対する説明モデルは多くが非医療的なもので、地域によって考えられる原因や対処法にはそれぞれの特徴もあることが分かった。今後は他地域での結果と比較することで異なる文化圏におけるうつ病の説明モデルの違いを明らかにし、それぞれの地域でうつ病といわれる状態にいかに対応していくべきか独自のヘルスケアデザインを策定する予定である。

Causes of Carryover

新型コロナウイルスの影響で予定していた中国・青海大学との学術交流会が中止となり、2021年度での実施を計画している。

URL: 

Published: 2021-12-27  

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