2020 Fiscal Year Research-status Report
急性骨髄性白血病の酸化ストレス経路の分子機構の解明と新規治療法の開発
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18K15411
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
後藤 七海 群馬大学, 大学院保健学研究科, 助教 (80782482)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 急性骨髄性白血病 / 酸化ストレス / DNA修復 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの検討により、急性骨髄性白血病(AML)の細胞株に酸化ストレスを負荷することによって、酸化した塩基などを除去する塩基除去修復に関わる遺伝子の発現が上昇することが明らかになった。その遺伝子のなかでもでも、塩基除去修復の他に転写因子活性制御にも関与する多機能蛋白APE1(AP endonuclease 1 / redox factor1)に着目し、AML細胞株に対するAPE1の役割を検討した。APE1をknockdownすることにより、AML細胞株の増殖が抑制されることが明らかになったほか、APE1の阻害剤であるE3330でもAML細胞株の増殖が抑制された。そのため、APE1阻害によるAML細胞株での増殖抑制のメカニズムを検討した。以前に、我々は別の造血器腫瘍の細胞株において、E3330によるAPE1阻害を通じた遺伝子発現レベルの変化の網羅的な検討を行なった。その結果、E3330投与でOSGIN1 (oxidative stress induced growth inhibitor 1)の発現が上昇することを見出した。そのため、AML細胞株でもOSGIN1の発現が上昇し、増殖が抑制される可能性を考え検討した。2種のAML細胞株で、mRNAおよび蛋白レベルでその発現が上昇することが明らかとなった。他の経路の遺伝子発現の変化が関与している可能性も否定はできないが、OSGIN1がAPE1阻害を介したAML細胞の増殖の抑制に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大による研究規模の縮小のほか、臨床検体の収集あるいは代替措置として考えていたTCGA等のがん患者遺伝子発現データベースでの解析が難航しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題で着目する延期除去修復関連遺伝子をAPE1に絞り、AMLの病態への役割を明らかにする。APE1抑制によるAML細胞増殖抑制にOSGIN1が関与している可能性が示唆されたため、OSGIN1強制発現によるAML細胞株の増殖などの影響を検討する。また、がん患者遺伝子発現データベースを用いた解析も並行して続けていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う、研究の一時中断・規模縮小のため。2021年度は遺伝子発現の網羅的解析などを予定しており、関連する試薬や実施費用などに使う予定である。
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