2019 Fiscal Year Research-status Report
頭痛関連SNPと心拍変動解析法を組合わせた一次性頭痛鑑別法の新規構築
Project/Area Number |
18K15413
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
平 千明 信州大学, 学術研究院保健学系, 助教 (40779310)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 片頭痛 / 緊張型頭痛 / SNP genotyping / 心拍変動解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
一次性頭痛の80%を占める片頭痛と緊張型頭痛は複数の遺伝的素因と様々な環境変化に伴う自律神経の変調に起因する多因子疾患であり、それぞれの病因病態に合わせた分類と診断が強く求められるが、現状での鑑別診断は医師の熟練度や主観に依存している。頭痛関連SNPsと心拍変動解析を組み合わせて、患者数の多い一次性頭痛のスクリーニング法を構築することを目的として、新規に構築した5種類のSNP(MEF2D、ASTN2、PRDM16、c7orf10、Phactr1)を対象とした塩基特異的リアルタイムPCRと心拍変動解析用いた新規頭痛鑑別方法の有用性を検証した。2018年度は学生ボランティア51名を対象とした検証を行い、本法を用いて片頭痛と緊張型頭痛を鑑別できる可能性が示唆された。そこで2019年度は、プロトコールの再検証と幅広い年齢層を対象とするために学生だけでなく教職員も対象に検証を行った。学生17名[男女比7:10、平均年齢21.4±1.1歳]および教職員22名[男女比11:11、平均年齢44.1±12.1歳]の結果から、SNPリスクアリル保有率では学生においてMEF2D、c7orf10、教職員においてPhactr1で慢性頭痛の有無による有意差が見られた。短時間で同一の検査条件になるようにプロトコールを改良した心拍変動解析ではLF/HFの立座比により、学生は2.0を境界値として片頭痛疑いと緊張型頭痛疑いを鑑別できる可能性が示唆されたが、教職員では鑑別困難であった。本新規頭痛鑑別法は、年齢別で有用性を検証する必要があるものの、慢性頭痛保有率の高い若年層の頭痛スクリーニングに有用であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
心拍変動解析プロトコール改良により幅広い年代層での検証を行ったが、検証人数が現時点で約40名と、予定していた100名に満たないため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討により心拍変動解析により自律神経活動から片頭痛と緊張型頭痛を鑑別できる可能性が示唆されており、SNPに関しても自律神経や血管拡張に関する遺伝子を候補として検索する必要性がある。そこで、本年は被検者ボランティア100名(残り約60名)を目標としてこれまでの解析の継続と、VEGF(血管拡張に関係)プロモーター領域の多型解析を追加で行うこととする。VEGF遺伝子のプロモーター領域のスクリーニング部位は、-2578C/A、-1154G/A、-634G/C、-2549Ins/Del(18bp)を対象とし、ダイレクトシークエンスまたは塩基特異的PCRにより検出する。必要に応じてクローニングを行う。
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Causes of Carryover |
理由:当初計画で見込んだよりも安価に研究が進んだため、次年度使用額が生じた。 使用計画:次年度使用額は平成31年度請求額と合わせて消耗品費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)